第34章 ふられた後に / 甘
ある人に振られて寮のキッチンでぼーっとする私。
眠れるわけなくて何か飲もうと冷蔵庫の扉を開ける。
「何してんだ」
急に声をかけられてびくっと身体が震えた。
『なんだ、爆豪くんか、驚かさないでよ…』
振り向くと爆豪くんがいた。
『喉が渇いただけだよ…?』
お水を取り出してコップに水を注ぐ。
「お前、さっきフラれてたよな?」
そう言われて飲みかけてたお水を盛大に吹き出した。
『…っ⁉︎/// なんで、知ってっ//』
「たまたま目に入った…」
最悪だ。
クラスメイトに見られるなんて、しかもよりによって爆豪くんなんて。
言いふらしたりとかしないだろうけど、何か嫌だ。
「…あんな奴のどこが、いいんだよ…」
『…っ⁉︎ 爆豪くんに何がわかー』
その瞬間、冷蔵庫に押しつけられる。
何が起きてるのか分からなくて把握するのに数秒かかった。
「俺に、しろよ。」
『……えっ?』
何を言ってるのかわからなかった。
『どういう、こと?』
「言わなくてもわかんだろ…この状況でっ」
焦りを含んだ台詞に、射抜くような視線。
ちょっとでも動いたら触れられそうな顔の位置。
いや、まさか、あの爆豪くんが?と気づいた瞬間に私の唇は彼の唇によって塞がれていた。
「っ、…逃げねぇ、ってことはいいんかよ?」
また唇を塞がれそうになるけど、拒むことなく私は受け入れた。
END