第32章 ☆電車のホームでカップルが / 甘
デートからの帰り道。
「すっかり、遅くなっちゃったねっ、早く帰らないと」
『そうだねっ』
本当は帰りたくないなぁ、なんて思いながらホームを歩いていた。
ふと、私たちの目線の先に1組のカップルがいた。
あろうことか私達がいるのにもかかわらず、抱きしめあったり、そのままキスもしていた。
「…うぇ、あっ//、え、ええっと、違うところ行こうかっ///」
『そ、そうだねっ///』
出久くんも、見てしまったようで慌てて目線をそらしていた。
「あ、あんなところで困る、よねっ//」
『そ、そうだねっ//場所考えて欲しいよねっ』
顔を赤くしながらぎこちない会話をする。
カップルと離れて、ホームで電車を待つ。
見てしまったものは忘れられなくて、出久くんと目線を合わせるたび、私は出久くんの唇を見てしまう。
出久くんは、それに気づいたみたいで。
「もしかして、君もしたい?//」
『…ち、違うよっ///』
「そう? 僕は、したいけど…//」
『…えっ…?//』
「でも、キスだけじゃ足りなくなるから帰ってからのお楽しみ、ね?」
END