第4章 胸の鼓動が止まらない
ある夏の夜。
今日はずっと楽しみにしていたお祭りがある。
もちろん出久くんと一緒に行く約束をしていた。
ー支度に2時間かかったけど、準備はばっちり。
変なところないかな?
自分の姿を確認しながら、待っていると出久くんが走ってきた。
「ごめんね、リルルちゃん、遅くなっ…て」
『…ど、どうしたの? 』
まるで非常口のような体勢で、一時停止する出久くん。
不安になって、聞いてみたけど、相変わらず一時停止のまま。
「……すごいっ」
『…えっ?』
「すごいっ! 可愛いっ!よく似合ってるよ!//」
『…っ///』
出久くんは、いつも全力で褒めてくれるから、恥ずかしくなる。
『ありがとう…///』
「じゃあ、行こっか//」
はい、っと普通に手を出されて、その手を握った。
今までは幼なじみだったけど、この前告白されてはれて彼女になった。
手を繋ぐことは慣れてたけど、彼女って認識してから妙に照れる。
そんなことを考えていたらお祭り会場に到着した。
いろんな出店がある中、あるコーナーを見つけた。
『出久くん、あれやりたいっ!』
「ん? 金魚すくい?」
前からやってみたいと思っていた金魚すくい。
早速、おじさんにポイと器ももらって、やってみる。
『あれ、うまくいかない…』
当たり前だが、金魚は逃げるし、ポイはすぐ破けてしまう。
なかなか難しい。
出久くんの器を見ると金魚がすでにたくさん泳いでいた。
『出久くん、すごいっ! 金魚すくい上手だねっ!』
「リルルちゃん、こうやってやるとうまく取れるよ?」
そう言うと、手を握られて、取り方を教えてくれた。
すぐそばに出久くんの顔があって、思わず顔を赤くする。
ーか、顔近いっ///
その時、ふっと目が合った。
「…うわぁあっ//ご、ごごごめんっ」
『ふふっ』
慌てて離れた衝撃で出久くんの器は、見事に水槽にダイブして、それが面白くて思わず笑ってしまった。
「ほほんと、ごめんねっ」
『んーん、楽しかったから大丈夫っ!』
「なら良かった// 次はどこへ行こうか?」
『次はー』
出久くんとなら何しても楽しいからどこへでも
END