第3章 大切な君と共に
「リルルちゃんを……離せっ!!!」
『出久くんっ!』
その後、私は気を失った。
*
ヴィランに、誘拐されそうになったリルルちゃんを助けた僕は、腕の中で気を失ってるリルルちゃんをしっかり抱き上げる。
「すみません、このまま帰ります!」
一緒にいた警察官にそう告げると、急いで部屋へと向かった。
*
部屋に着くと、リルルちゃんを自分のベッドに寝かせる。
「リルルちゃん……」
そう呟いても、返事は返ってこない。
もっと早く助けていればこんな怖い思いをさせずに済んだのに、考えれば考えるほど後悔の念が押し寄せる。
僕は、リルルの手を握ってずっとそばにいた。
*
カーテンの隙間から、光が溢れる。
明るさと体にかかる重みで私は目が覚めた。
『こ、ここは……?』
周りを見渡すとオールマイトのグッズがずらり、すぐに出久くんの部屋だとわかった。
ふと、手を握られてるのを感じて、その先を見るとヒーローコスのまま寝ている出久くんが目に入る。
ー もしかして、ずっといてくれたの?
そう気づいた瞬間、ぶわっと気持ちがあふれた。
その時、ぱちっと目が覚めた出久くんと目があう。
『あ、の…えっとおはよう、出久くんっ』
「リルル…ちゃん?」
心配かけてごめんねって、言いかけると同時に、大丈夫!? 怪我してない!? って質問攻めにされた。
『ふふっ』
「笑い事じゃないよ、本当に心配したんだからっ」
『だってっ』
不謹慎かもしれないけど、慌てぶりが面白くてつい笑ってしまう。
それにつられて出久くんも笑顔になった。
「でも、本当に無事で良かった。」
急に真剣な表情で言う出久くんに、ドキッとする。
『うん、助けてくれてありがとう、出久くん//』
「当たり前だよ、僕にとって大切な人だから//」
『え、それって……//』
これで付き合うようになったのはまた別のお話。
END