第26章 ○初めてのLINE / 甘
彼女目線
ひょんなことから思い人である緑谷くんと連絡先を交換することになった。
部屋のベッドの上で体育座りをしながらスマホを握りしめる。
ー 私からメッセージを送ってもいいのかな?
それとも待ってた方がいいのかな?
今送ってもいいのかな?
いろんな考えが頭の中でぐるぐると回る。
ー 文章はとりあえず考えたから後は送信ボタン押すだけ…
ふるふると親指が震える。
ー あれLINEってこんな緊張するものだったっけ…
すると、下から母の声が聞こえてびくっと震えてしまった。
ピコン
ー あ…メッセージ、お、送っちゃった…
もう一度確認したかったのにっ!
文章変じゃなかったかな?
ベッドに横になり、送ったメッセージを何度も読み直す。
ー へ、返事くれるかな…?
すると、ピロリンとなる私のスマホ。
びっくりして飛び起きる。
メッセージを開くと、
『大丈夫、無事に届いてるよ!こちらこそよろしくお願いします!癒月さん』
私は思わず顔がにやけて、そのままスマホを抱きしめた。
*
緑谷くん目線
ー どどどどうしようっ⁉︎⁉︎、女の子とれれれ連絡先、交換しちゃったよっ…
スマホ片手に部屋をうろうろする僕。
今まで女の子と連絡なんてしたことないからどうしたらいいのかわからない。
それに相手は密かに気になっている人だ。
とりあえず何を送ればいいのか、僕から送っていいのか、送ったところで返事なんてくれるのか?なんてぶつぶつと考えていたら、ピロリン♪とスマホが鳴った。
おそるおそる画面を開く。
『無事に届いてるかな? よろしくね、緑谷くん!』
とメッセージが来ていた。
なんとも言えない気持ちが込み上げてくる。
ー と、とりあえず返事しないとっ…えっとえーと
無難な文章をかき集めて、何度も読み直して送信ボタンを押す。
「…はぁ〜〜〜っ」
とりあえず返事が出来て一安心する。
さっきのメッセージがまた目に入って僕はまた顔がにやける。
誰かに見えているわけでもないがそれを隠すように僕はベッドに顔をうずめた。
END