第25章 手のひらの温もり
今、私は思い人と手を繋いでいる。
こんな形で緑谷くんに触れられるなんて思ってもみなかった。
事の次第は、買い物中に子供に個性をかけられた。
その個性は、好きな人に10分触れないといけない個性。
何がいけないかは個人にもよるけど、下手すると死ぬこともあるらしい。
幸いなことに一緒にいたお茶子ちゃんに、協力してもらい、緑谷くんにお願いした。
『ほ、ほんとごめんね、迷惑だよねっ///』
「個性事故にかかったなら仕方ないよ、僕で良ければ全然!」
なんて優しい声と笑顔で言うから、あーやっぱり好きだって実感する。
顔も多分真っ赤で、気持ちがバレないか心配だった。
手汗とか出てたらやだなとか、考えてたらなんかじんわり出てきたような。
10分ってこんな長いんだっけ。
もっと繋がっていたいけど、離れたい気もあって複雑な気分。
『ありがとっ…今度何かお礼させてくださいっ//』
「じゃあ、本当は何の個性かけられたのか教えて?」
『えっ…/// 』
緑谷くんには、異性と手を繋がないといけない個性と伝えている。
本当のことなんて口が裂けてもいえないし。
でも勘のいい緑谷くんは何かに気付いてしまったみたいで。
「だって異性だけなら別に僕じゃなくても良かったはずでしょ?」
『…そ、それはっ///』
ーそれって期待、しちゃってもいいのかな?//
END