第2章 加州清光 甘酸っぱい想い・:*+.
「あーるーじっ!ねぇ主ってば!」
「んーっ」
「ほら!朝だよー!起きて!」
「あと…5分…だけ」
「だーめー!ほら!起きて朝餉食べに行くよ?」
こんな朝のやりとりを毎日繰り返している俺は主の初期刀・加州清光。
主は朝が弱い。
起こしに行って寝ぼける主に着替えをさせて、朝餉を食べさせるのが顕現してから欠かせない俺の仕事。
「んーっ…分かったよ〜…着替えるよ〜」
微睡みながら眠い目をこする可愛い主。
ふわふわの栗色の髪の毛が朝日を浴びてキラキラして…
「触れたい…」
「ん?なぁに?」
「っ!なんでもない!外で待ってるから早く着替えてね!」
つい心の声が出てしまって苦笑する。
主に恋心を抱いたのはいつからだろう。
顕現してしばらくは主と一緒にこの本丸の基盤を作って、新しい刀剣を顕現させて、忙しい毎日だった。
そんな毎日の中で主のいろんな一面を見てきた。
一生懸命なところ、前向きなところ、優しいところ、天然な発言の数々、泣き虫なのに我慢するところ、仕事中のキリッとしたところ、笑顔が最高に可愛いところ…
あー。。考え出したらキリが無いな。
「清光!おまたせー」
そんな事をぼんやり考えてたら、長い髪を緩く編み込み片側に流し、桜模様が映える淡い東雲色の着物を見に纏った主が出てきた。
「かわいい!!」
「ふふ。ありがとうー。清光って本当いつも褒めてくれるね」
「本当のことだから…」
こんなに可愛い主の姿…本当は誰にも見せたくない。
嬉しそうに笑う主を横目に、自分に芽生えた嫉妬心を悟られないよう食堂に向かった。
「主おはよう〜」
「蛍丸さんおはようございます」
「大将おはよう」
「薬研さんおはようございます」
みんなに笑顔で挨拶する主。
主は他の刀剣男子には敬語を使う。
俺だけ呼び捨てでタメ口なのがちょっと優越感。
朝餉の後、主から今日の予定と内番の担当を言い渡され、みんなそれぞれの持ち場に向かう。
「今日の主も愛らしいなぁ…」
ふと誰かが話している声に反応する。
心のモヤモヤが爆発しそうになり、ぎゅっと胸を押さえる。
正直、数人の刀剣男子が主を慕ってるってことは分かってる。
でも絶対譲らない!俺が主の愛刀になるんだから!