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ONE PIECE短編集

第5章 お前が女として恥らえ(ロブ・ルッチ)



広い原っぱ。
このグランドライン上にある海軍本部の特別訓練施設。
そこでは若い少年少女が己を高め、将来の夢を持って日々訓練に励む。

だが、そんな目的を笑い、ただ愉しむだけに訓練に参加するものが一名。
名をステフという。訓練施設内で1、2を争う力の持ち主である彼女は、今、同等に力を持つロブ・ルッチと向き合っている。

「覚悟は?」
「くだらん」

かみ合わない会話をただ座って見ている男、四角い長鼻を持つカクが麦茶を一つすすった。
そして、手に持っていたコインをピンッと上に投げ飛ばす。

「いくよ・・・」

コインがゆっくりとスローで落ちるのが気配で分かる。
ステフがルッチに短剣を向ける。準備はいつでもOK。
コインが落ちるのを待つのみ。ゆっくりと落ちるコイン。
そして、

ガッッ!!!

激しく金属がぶつかり合う音が聞こえる。
コインは静かに草むらに落ち、また二人のぶつかり合った衝撃でまたコロコロと転がる。
激しい衝撃波と闘志にカクはビリビリとする空気を見つめる。
お互いに持てる技術を持って全力で相手を倒そうと牙をむく。

「またやっているの?」
「・・・・・カリファか」

静かに後ろに立つのは同じ訓練施設で学ぶ女、カリファ。
訓練のために高く纏め上げた髪が風に靡き、顔にかかった髪を手で払う。
カクは見ることも無く麦茶を余分に合ったコップに注ぎ、手渡した。

暫く戦いを見学し、カクとゆったりと休憩していたカリファは徐に尋ねた。

「何時間?」
「今で丁度3時間じゃ」
「長くなったわね」

戦い始めて3時間。
前回の二人の戦いは2時間40分。ルッチの勝利で終わっている。
二人の力が互角とは言っても、12を過ぎた男女では根本的な力の差が出てくる。
その為、ルッチが勝利を取った。
だが、必ずと言っていいほど、次回にはステフがそれを上まる別の技術を身につけて勝利する。
そうすれば次にはルッチがそれを上回る。永遠と続く勝負に尽きはない。

「恐ろしい二人ね」
「まったくじゃ」

カクとてそこら辺にありふれた平凡な才能、というわけではない。
一緒に受けている生徒の中では群を抜いて能力がある。
だが、ルッチとステフがそれを遥かに上回って強いだけのこと。
政府のお偉いさんも二人には一目置いているほど。迂闊に二人を刺激できないのだ。

「あ、終わったようね」
「勝利は・・・」

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