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【鬼滅の刃】雪夜の花【短・中編集】

第4章 蛇柱さんはねちっこい【伊黒小芭内】



❄︎

わたしは蛇柱である伊黒小芭内さんの継子だ。
継子だが、使う呼吸は違う。
わたしは雪の呼吸の使い手だ。

なのにどうして継子なのか。
そう、答えは簡単だ。
小芭内さんとわたしは恋仲なのだ。
恋仲なのはなぜか周知の事実だ。

❄︎

わたしは、縁側に座り師範の帰りを待つ。
師範は柱合会議があるため、お館様のお屋敷まで出かけている。

師範の継子として、過ごす時間はとても勉強になることばかりだ。
時間があれば、稽古をつけてもらえる。
わたしの悪いところを指摘し直してくれる。
良いところはそのまま褒めて伸ばしてくれる。
飴と鞭を使い分けてくれる良い師範だと思う。

例え恋仲でも公私混同はしない。
わたしたちが恋仲になるにあたり約束をしている。

ひとつ。
公私混同はしない。

ひとつ。
師弟関係の為、基本的には”師範”と呼ぶこと。

大きな約束はこれくらいで、小さい約束(ものによっては一方的な約束だが…)もたくさんある。

約束事は置いておいて。

師範はとてもネチネチしていると思う。
師範からの告白もネチネチしていた、とわたしは思う。

それを師範に言うと、

 「なっ!?そんなことはない!……はずだ…」

視線を逸らしながら否定していた。
その反応が可愛らしいと思いつつも、それを言葉にはしない。
以前、言葉にしてからかったことがある。
そのときの師範を宥めるのは大変だったことがあるからだ。

思い出すと苦笑いしか出てこないけど、わたしは師範が好きで大切なのだ。

そう物思いにふけっていると、玄関の扉がガラガラと開く音が聞こえる。
はっとして立ち上がり、駆け出すと玄関までとたとたと走る。

 『師範!おかえりなさいっ!』

師範をお出迎えするように、柱からひょいっと顔を出し微笑む。
師範は微笑み、

 「あぁ、ただいま」

と一言言うと、ほんの少し渋い顔をした。

 「椿姫?」

 『は、はい…師範』

 「廊下は走らない。いまは師範呼びではないだろう」

師範は草履を脱ぎ、こちらに近づく。

 『は、はい…小芭内、さん…』

 「よく出来たな、椿姫」

きごちなく名前を呼べば、小芭内さんは優しく微笑み額に口づけをした。

❄︎

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