第1章 幸せのかたち【伊黒小芭内】
❄︎
わたしには、とても愛おしい恋人がいる。
彼は女性恐怖症だった。
それでも、わたしとお付き合いをしてくれた。
そして、今日からわたしたちは夫婦になります。
❄︎
『小芭内さん、本当にわたしでいいんですか?まだ、今なら間に合いますよ?』
「あぁ、椿姫だから祝言をあげようと思ったんだ。そんなことを言うな」
『はい。小芭内さん、幸せですか?』
わたしは小芭内さんの目を見て聞いた。
「あぁ、幸せだ」
小芭内さんは微笑んで、わたしを優しく抱きしめた。
『ふふふ、わたしも幸せです。小芭内さんが居てくれるのなら』
わたしも小芭内さんの背中に腕をまわし、抱きしめた。
❄︎
わたしたちはお館様の前で、夫婦になることを報告した。
鬼殺隊であり、柱である小芭内さんと話し合い、祝言はしないことにした。
その代わり、お館様の前で永遠の誓いをすることになった。
「小芭内、生涯 椿姫を守り抜くことを誓うかい?」
「はい、誓います」
「椿姫、生涯 小芭内を守り抜くことを誓うかい?」
『はい、誓います』
「そうだね、誓いの口付けをしようか」
お館様はにっこりと微笑むとそう言った。
当然、わたしと小芭内さんは固まってしまう。
「ほう!伊黒、盛大にかましてやれっ!」
そこには柱の皆さんも居て、盛大にヤジを飛ばされた。
「うるさい!宇髄!」
小芭内さんは頬をほんのり染めて、宇髄さんを睨んだ。
「伊黒さーん!早く済ませた方が後が楽ですよー」
「そうよっ!伊黒さん!」
「胡蝶、甘露寺まで…」
小芭内さんはため息をついて、わたしを見た。
「椿姫」
『はい』
「…い、いいか…」
『はい、夫婦ですから』
わたしは小芭内さんに微笑むと、小芭内さんはほんの少し微笑んでからわたしを引き寄せた。
そして、軽く触れるだけの口付けをした。
「はぁー!あっついねぇ」
またもや宇髄さんが、からかうように笑った。
「これで小芭内と椿姫は夫婦だよ。おめでとう」
「はい、ありがとうございます」
『ありがとうございます』
わたしたちは寄り添うようにお館様に頭を下げた。
❄︎