第10章 藤の花のかおり【冨岡義勇】
『っ…はぁ、まっ…』
絶え間なく口づけしてくる冨岡さんを止めようと口を開けば、ぬるりと冨岡さんの舌がわたしの口内に滑り込み上顎をなぞったり、舌をくちゅくちゅと絡め始めた。
『んっ…はぁ…あ…』
わたしはどうにでもなれというように、冨岡さんの舌の動きに合わせるようにぎこちなく舌を絡める。
しばらくして唇を離した冨岡さんは、ふっと優しく微笑んだ。
「…そんな顔をされたら優しくできなくなってしまいそうだ」
その瞳には愛おしいものを見るような慈愛が篭っているようだった。
『…優しくしてください』
わたしは困ったように笑うと、冨岡さんは頬をひと撫でするとそのまま口づけをしてきた。
どれほど唇を合わせていたのかは分からないが、わたしの息が上がるほどの時間だった。
口づけをしている間に、隊服の釦を外され袖を引き抜けば上半身はさらしのみになっていた。
『…は、ずかしい…』
わたしはそれに気づくと同時に、両手で胸を隠すように身体を抱きしめた。
冨岡さんは少し動きを止めたが、それに臆することなく隊服のベルトに手を伸ばしカチャカチャとベルトを金具から外し、そのままベルトを抜き去ってしまった。
『!まって…!』
わたしは片手でそれを阻止しようとしたが、どうやら遅かったらしくミニ丈の袴の腰ホックを外した後だった。
「…待てない、と言ったらどうする?」
冨岡さんはそう言うと、どこか妖艶に微笑を浮かべそう言った。
わたしは答えられずにいると、冨岡さんは顔を近づけるとそのまま口づけをする。
『んっ…は、ぁ…』
口を離すとお互いの唇を銀色の糸が繋ぐかのように橋を作っていたが、それもぷつりと切れた。
『はぁ…はぁ…』
わたしは荒くなった息を整えるように呼吸を繰り返した。
荒い呼吸が整う頃、冨岡さんはわたしの身体を押し倒した。
『えっ…まっ…!』
「待てない」
冨岡さんはそう言うと、いつの間にか外していたさらしと、腰のホックを外してそのままになっていた袴、下着を脱がすとわたしは産まれたままの姿になった。
『や、だ…はずかしい…』
わたしは手で身体を隠すが、すぐに冨岡さんの手で阻止され両手を頭の上に固定された。
冨岡さんはわたしの身体をまじまじと眺めると
「…綺麗だ」
と、一言そう言った。
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