【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】
第10章 ハッピーバースデー 黒尾鉄朗
「いや、違うんだ。俺はさっき研磨がやられたシチュエーションを望んでいるだ。さっきのだって絶対研磨は意図的にやったんだ」
顔をキリッとしながら言う黒尾に#れいか#は額にデコピンする。
『食べ物を粗末にしちゃ駄目です』
「でも指で掬ったら#れいか#のお腹に入るから。#れいか#は美味しい思いをする。俺はその行為で課題を頑張れる。一石二鳥だ」
『いや大丈夫か?』
溜息を繰り返す#れいか#は、次に黒尾の頬に近付く。次の瞬間、クリームを指で掬うのでなく、舌で一つ舐めとった。
「……は」
「え」
予想以上の行動をした#れいか#に黒尾はこれでもかと言うくらいに顔を火照らせる。孤爪は胸がズキズキと響く音がしたような気がした。
『……こんなのは、されたくないでしょ?』
「……………………お、おれ……たべられるぅ…………」
語彙力を失った黒尾は悶絶寸前となるが何とか持ち堪えた。刺激が強過ぎて、口をパクパクとさせている。
嫉妬なのか拗ねたのか孤爪はスムッと眉を顰めながら下を向いている。そんな孤爪を#れいか#は一瞥した後、ゆっくりと孤爪の方を見直し、頭をゆっくりと撫でた。
『ごめん、もうしないから』
「……もうやめてよ。絶対に」
『了解です』
未だ状況を把握出来ていない黒尾を次は孤爪と#れいか#は笑い合った。
***
「夢かと思うほど、天使かと思うほど幸福な時間でした。私はこの日を死ぬまで忘れないでしょう」
「馬鹿じゃないの」
孤爪が顔を歪ませながら冷たい目で見ているが、今の黒尾はそんなこと少しも痛く感じないようで上の空でいた。
『……ねぇ、もうやめて。いつものクロに戻ってよ。後悔してきた』
手を握ってくる黒尾の視線から顔をどかせながら#れいか#は言う。
「だってよぉ……最高。最高のプレゼントだった」
よっぽど嬉しかったのかニマニマと周りに花が散ったように見てる黒尾を二人は余計冷たい目で見る。#れいか#は頭を抱え、再び溜息を繰り返す。
『まぁ、私はやり過ぎたと反省しています。ごめんねクロ』
「は?何言ってんの?俺はあれが何より最高だったって言ってんの。謝るのやめなさいよ」
『……これ謝らないのがいいんだよね?別に私謝らなくてもいいよね?』