【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】
第2章 甘いお菓子は私を満たしていく【小学生編】
そう#れいか#は黒尾と孤爪に向かって手を振り、一人だけで帰り道を進む。
黒尾と孤爪は#れいか#の家を一切知らない為、一度この交差点で別れる。
暫く一通りのない道を歩き、次に霧の濃い、まだ明るいはずなのに暗い道を通る。
数十分歩き、ある高層マンションにつく。
階段を歩き、三階。コツコツと思い足取りで歩き、ある部屋の前で止まる。
305号室。ドアの前にある手錠を一度落とし、三回ノックする。
キイィィ__と音を立て、部屋に入り、バタンとドアを閉じた。
***
「……!#れいか#!」
「お、来た!早くやろうぜバレー!」
「え、最初にするの……?」
「当たり前だろ!」
折角ゲーム出来ると思ったのに……と、元からの猫背を更に曲げる孤爪。
#れいか#の姿を見た黒尾と弧爪はすぐさま走って#れいか#の元へ移動する。
川のすぐ側にあるのはバレーのネット。きっと昔誰かが立てたのだろう。この場を見つけてから、黒尾達はいつもここで練習している。そしていつの間にか、黒尾はネットに向かい、孤爪にトスを打ってくれとお願いする。
孤爪は面倒くさそうに溜息をついたが、#れいか#が弧爪の肩を軽く押したことで、思い足取りでゆっくりと黒尾の所へ向かった。
孤爪は嫌な顔をしているが、ボールを持つと、微かに集中力を高め、トスを打った。
的確に当てているわけではないが、ずっと黒尾の相手をした為、なんとなく感覚は掴めているだろう。
黒尾は大きく腕を振る。……が、的が外れたのか空振りでボールは落ちていく。いつもと違う技を決める黒尾に、弧爪は問いかけた。
「クロ、今の何?」
「一人時間差!昨日テレビの試合でやってるの見た!」
何なんだそれ、と聞く前に黒尾は説明する。
「こうジャンプすると見せかけて一回止まってフェイントかけてから打つ!」
そう上に飛び上げ、体を使いながら黒尾は言う。
「何それ分かんない……。テレビで試合見るたび新しい技やろうとするのやめてよ」
「何言ってんだ!」
何から何まで予定を決めず、バンバンと前だけを見て進む黒尾に、孤爪は一人で勝手に決めるなとでも言うように言い放ったが、黒尾はそれに反抗する。
「今から沢山練習して、他の奴らができないことを俺たちが一番できるようになるんだ!」