【R-18】バリケードの内側で【ウーユリーフの処方箋】
第1章 私のひとりごと(読み飛ばしても大丈夫です。)
私がこの廃れた世界に来て、早くも一週間が経とうとしている。
こんなガラクタばかりの中でどうやって生活していくのだろうと絶望していたが、元々この乙女ゲームのキャラクターだというキリオに拾ってもらってトレーラーハウスに住み着いてからは意外と快適に過ごせている。
トレーラーハウスには既に私と同じでゲームに取り込まれてしまったらしい4人の男性が住んでいた。
最初にキリオと訪れたときは大層怪訝な顔をされたものだ。
なんでも、このゲームに取り込まれる人間の条件が「女遊びの激しいイケメン」だからだそうだ。
しかしそんなことを言われてもなぜ女遊びどころか性別すら違う私がここに取り込まれたのかなんて私の方が知りたいくらいなのだが、キリオが一生懸命?説得してくれたおかげでなんとか腰を落ち着けることが出来た。
最近は少しずつみんなのお手伝いをしたりおつかいに行ったりしてやっと害のない人間だとわかってもらえたようで、ご飯を一緒に食べたりお茶したり、楽しく過ごせるようになってきたところ。
みんなのこともちょっとずつ覚えてきた。
栗色の髪がマツリ。謎解きが得意らしい。左腕が機械になってる。イケメン。
黒い髪で右目に機械を装着しているのがノゾミ。洗濯係。イケメン。
長い前髪で目が隠れている銀髪の子がミト。料理上手。顔の下半分を見るにきっとイケメン。
派手なピンクのメッシュが入ったモヒカンがカナタ。髪型で台無しにされているけど顔はイケメンの部類だと思う。
…客観的に考えてみると4人のイケメンと一緒に住んでいるなんて非常に恵まれた状況なのではないだろうか。
現実世界に戻ったらこんな生活をすることなんて生涯ないだろうから、今のうちに目に焼き付けておくんだ。
後ろで男性陣がよからぬ企みを起こしていることなど知る由もなく、私は一人意気込んだ。