第36章 たぬき
ー研磨sideー
それ以上でも、それ以下でもなく。か。
なんか結構すきかも、その言葉。
その感覚。
放課後、部活へ向かうまでのちょっとの空き時間、
穂波と一緒に昨日の店のクッキーを食べた。
パイナップルとココナッツのサブレ。
うまい。
これを食べる前提でか、
今日穂波はカップ付きの小さい水筒も持ってきてて、
あったかいお茶を飲みながら食べた。
受け取ることを更にレベル上げした穂波の踊りは
どんなものになるんだろう。
ただでさえ、相当すごいのに。
部室までの道を一緒に歩いて、
別れる前にそっとキスをした。
今日は帰らないとだけど、
明日からまた泊まれたらな、と思ってる。
今週末は2日ともがっつり部活だけど。
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「研磨さん!今日穂波ちゃんに廊下で会った時、
いつものようにかわいいね、って頭ぽんぽんしたんです」
練習のあとモップをかけてると
リエーフが後ろから畳んだネットを持って追いかけてくる
「…それ片付けてから話せば」
「そしたらなんかいつも以上に可愛い顔してました!
あれ、俺のこと前より好きになったんじゃないかな!?とか思ったんですけど」
「………」
そっか、受け取ることのレベル上げって
そういうことにも繋がるのか。
今までも十分真っ直ぐ受け取ってた気がするけど、
それより更に真っ直ぐ… どきどきとかもっとする、ってこと?
それ以上でも、それ以下でもなく。
…途端にちょっとややこしくなってきた気もするけど、
まぁもうどうしようもないし。
観察してみるしかない。