第35章 fun
ー穂波sideー
「俺もう今日兵庫帰るんで、穂波ちゃんとこの後話してもええですか?
もう手は出しません!」
…治くん、研磨くんにずっと敬語。
「…それおれに聞くことじゃない」
「どういう意味ですか?」
「なんで穂波が誰と過ごすかをおれが決めるの。意味わかんない」
「………」
「………」
「穂波ちゃん、ちょっと話したいわ、もっぺん、2人で!」
『あ、うん。わかった。わたしも梟谷の試合が観たいから、それでもよければ』
「…穂波、ちょっと一回、こっち」
研磨くんに手を引かれる
「クロ、先行ってて。えっと、宮くん?」
「治です」
「治くんちょっとだけ待ってて」
そういって研磨くんはわたしの手を引いてすたすた来た道の方に戻ってく
…研磨くんのこの感じわかる。
どこか、死角になるとこできっとキスをする。
・
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「穂波、なんですぐ言わなかったの。
よくあることだしもう言わないでいいと思った?」
廊下を曲がったとこにあるロッカーのある小部屋。
扉もないし死角とは言えないけど…
ロッカーに背中をついて研磨くんに壁ドンされてる。
『…ごめん、そんなつもりじゃない』
「…ん、わかってる。どうしても、処理するまえにイラつく。
おれ試合の後だし、言いたくなかったとかだよね」
『…ん。信介さんが研磨くんに話に来るとは言ってたけど、
電話いれるって言われてたから、それもその時伝えればいいかなって思ってしまって』
「…まぁ、いいや。おれのだし」
そう言って研磨くんはわたしにキスをした。
上書きするね、って言われてるみたいな
深くて甘くて激しいキス。
それから、研磨くんの汗の匂い。
酔ってしまう。
「…あ、まずい」
『…?』
「すごい、かわいい顔になっちゃった、穂波」
『………』
そう言ってぎゅっと抱きしめられると、
研磨くんの汗の匂いがもっとむわぁとわたしを包む。
「…ふ。笑 においすぎ」
研磨くんはふっと笑った。
…たまらない、たまらない、試合後の研磨くんの腕の中。