第35章 fun
今日から学校が始まっていて
でも希望者は春高の応援に来れることに。わーい。
なのでもちろん。会場に来てる。
「どうも穂波ちゃん」
この広い会場で
たくさんの人がいる中で
こんな風に毎日誰かに声をかけられるって。
みんな見つけてくれてありがとう、だな。
…でも誰だろ。声じゃわかんない。
振り向くと…
『あ、体幹すごいひと』
稲荷崎の10番の人
「あ、見てたんだ」
『みてたよ、どっちもみんなかっこよかった。
稲荷崎のひとは人懐っこい人多いんだね』
「そんなことないけど。ただ図々しいだけと違う?双子のことやろ?」
『あはは』
「なにしてんの?」
『えっ? 試合をみに…』
「いや、そうやなくて、穂波ちゃんも体幹強いやろ」
『そうかな』
「なんかやってるの?」
『フラ?』
「ふら。何それしらん。やってみて」
『え、知らない?こういうの』
ナル、波の動きをしてみる。
一番代表的なやつだと思うんだけど
「あぁ知らん。もっとやってよ、知りたいわ」
『あ、知ってるでしょ からかっちゃダメ』
「ばれたか。からかってはないけどな。その日焼けもフラダンスなん?」
『日焼けはサーフィンかな。スケボーもするよ』
「へぇ ねぇ、連絡先交換する? 俺、倫太郎」
『え、しないけど、倫太郎くんも… あ、倫ちゃんて呼んでもいい?』
「だめ。何でそうなんの」
『倫太郎くんって名前の友達居なくて。倫ちゃんて呼ぶの憧れ』
「なんの憧れやし」
『大好きな小説の主人公。倫太郎で倫ちゃん』
「意味わからん。 …なら、呼び捨てから始めや」
『ん?』
「最初は倫太郎からや、くんはなしで。 それから倫ちゃんでもええよ」
親しくなるにつれてデレていきや」
『デレるって 笑 オッケー、じゃあ倫太郎。
倫太郎は体幹強いから、スケボもサーフィンも安定してできそうだなって』
「俺と一緒にやってみたい?」
『え、あぁ、一緒にやるのは楽しいだろね』
「じゃ、連絡先交換しよや」
『いや、しないけど 笑』
淡々と攻めてくるな。笑
それからほんと、パークとかで会う感じの子たちと雰囲気が似てる。
だから、話しやすいや。普通に呼び捨てで呼べるし。