第5章 夏
男の子「ねーなんでチューしてたのー?もうしないのー?」
『うん、もうしないの。笑 かっこいいボールだね!』
男の子「お誕生日にばぁばに買ってもらった」
『へぇ!何歳になったの?』
男の子「3歳!お兄ちゃんになるんだよ」
『そっかぁ〜 すごいねぇ、お兄ちゃんになっちゃうんだ。
わたしね、お兄ちゃん大好きだよ』
穂波はわざとか、自然にか、話題をそらした。
それから隣でじっとしている女の子に向かって
『大きな葉っぱみつけたね。綺麗!わたしも今、葉っぱ集めてたんだよ?ほら』
そう言って手招きをして、グラデーションに並べた葉っぱを見せていた。
お腹の大きなお母さんがやってきて、
その子たちを連れて行った。
『お腹大きかったねぇ…すごいなぁ…妊婦さんのお腹ってほんとう綺麗。
あの子たちともっと遊べばよかったかなぁ…』
穂波はそんなことを呟いた。
『ね、研磨くん。少し歩かない?』
「…ん。歩こっか」
バスケットを持って歩く。
穂波はおれのリュックを背負ってる。
池の周りをぐるっと歩いた。
葉っぱや木肌に触ったり、
空に向かって手のひらをかざしたり、
公園を歩きながらいろんなことしてる。
「ねぇ、穂波。ちょっといい?」
穂波が背負ってるリュックを開けて、飴を取り出す。
「飴、いる?」
『うん。ありがとう』
2つとって手のひらに乗せて渡すと
穂波はぶどう味をとった。
おれは残ったいちご味を口に放り込む。
「…飴舐めてると喉が渇いてくるから、そういう時も水筒があると心強い」
『…ふふ。…そういえば、研磨くん、ほっぺ膨らんでて甘い匂いすることあったぁ。
飴だったんだね。…なんか飴舐めながら散歩とか、平和〜』
「…ん」
池が見えるベンチに2人で座って、
鳥や水面を眺めたりして過ごした。
そんな穂波のことをみているとまたキスをしたくなってくるので、
ゲームを取り出した。
穂波も本を読み始めて2人でそれぞれ違うことをして過ごす。
…穂波と過ごす時間は本当にラクで良い。