第3章 休暇(前半)
船での作業があると言ってペンギンとシャチは帰っていった。
残ったベポもいろんな島のエターナルポースを物色しに行くと言って買い出しに出掛けている。
二人になったローとクロエは、コーヒー片手に各々が持ち込んだ本を読み耽っていた。
「なぁ」
静かに読み進め早数時間。
朝日が眩しかったのがいつのまにか天辺を越え始めていた。
「なに?」
読み終えたのか本をサイドテーブルに置いてローはクロエに近づいた。
「人間てのは強すぎる痛みとかの刺激に対して、防衛本能によって気絶するよな」
「…それが?」
「セックスでも強すぎる快感で気絶する」
何が言いたいのかわからず怪訝な顔をするクロエをおいてローはさらに淡々としゃべる。
というか突然なんだ。
「ずっとイケない弱い快感を与え続けた場合と、突っ込まずとも快感が強ければ愛撫だけでも気絶することはできるのか…」
クロエはよくない雰囲気の話題に視線をずらせば【人体の不思議 -性について-】
なんて馬鹿げた本が目についた。
しかも上・中・下のうちの下巻だった。
「あの、私お腹すいたから買い物に…」
「まぁ待て。あとでたらふく食わせてやるから」
一先ず実験に付き合え。
なんの、とは聞けなかったがこれからしようとしていることはわかった。
「ほんと、たまに意味のわからないことに興味持ったりするよね」
「逃げるな」
迫るローに身を翻しながら距離を取った。
この思考のローは危なすぎる。単に性的欲求のためのセックスではなく、研究目的でありそのためには何度も繰り返されるわけで。
しかも気絶がどうのこうのとか言っていたことからして危険な香りしかしない。
「一応提言してみるけど」
「なんだ」
「その辺の女捕まえて…」
「海軍中将が一般市民を犠牲にするのか」
「生業としている人いるよ…しかも犠牲って、私はいいの!?」
「俺はお前がいい。お前でしか実験したくねェ」
「なんの告白してんの!そもそも実験なんて…」
「いいから、全て任せて黙って抱かれろ」
任せられるか!