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八重歯と稀血

第5章 伍.来世に繋ぐ物 ※





「これでいいか?着替え」

「はい、ありがとうございます。
実弥さんのお着替えとりあえず何着かありますよね?」


今日ここへ来るために玄弥と俺の着替えなど何日かは不便ないようにあらかた持ってきていたのだ。
それを取りに玄関へ行き、置いてあった風呂敷の中を開けて着物をとりその場で簡単に身だしなみを整える。

の元へ行くとも着替えを済ませていた。


「とりあえず座って待ってれるか?」

「少し休憩すれば動けますけど」

「ん、いいよ、座っとけ」


俺が布団を変えようとしているのが分かったのか、動こうとしていたが黙って座って待っておけと制して休ませた。

濡れた布団で洗える部分と分けて、洗えないとこはとりあえず外に干し、洗えるものは外に出て水で洗って干していた。

部屋に戻ると予備の布団をが敷いておいていたようで、まるで何事も無かったかのように元通りにしてあったのだ。


「ここがわたしたち二人の部屋になると思いますから、実弥さんの物はここに置いといたらどうですか?」

「そうするか」

「玄弥くんは反対側の部屋にする予定です」

「伊藤は?」

「伊藤は住み込みじゃないので」

「そうかァ」


も手伝ってくれたおかげで、俺の荷物は少ないこともあり部屋への移動はすぐに終わった。

暇になったので二人で縁側に行き座って二人の帰りを待つ。

の普段着というか…着物姿は初めて見た。
隊服しか見ていなかったせいで、こうして見ると本当に一緒に戦っていたのかすら疑問に思うほど普通の女だ。


「……実弥さん、着物の方がずっとかっこいいですね」

「俺も今同じことをに対して思ってた」

「そうですか? でも隊服も捨てがたいなぁ」

「全く同じこと考えてる」

「んふっ」


二人で向き合いお互いの顔を見つめ合い、おでこをコツンとぶつけて笑い合い、口付けをする。


「外だから帰ってきたらすぐ見られちゃいますよ?」

「玄弥のことだから顔真っ赤にするだろな」

「想像できる」


そう会話してすぐに遠くから玄弥と伊藤が帰ってきているのが分かった。
おー危なかったーなんて笑いながら立ち上がり、二人を出迎えた。



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