第4章 肆.命ある限り ※
痣が出た者は25までは生きられない。
それは上弦の壱に言われる前にあまね様に言われていたのだ。
もそれは知っていたようだ。
そして悲鳴嶼さんはそれを克服するため痣のことや呼吸で克服出来ないかと考えていたのを知っている。
「……愈史郎くんへ薬が届いているはずです。
あとは待ちましょう」
胡蝶は痣が出る時の身体の様子から、例えば心拍を抑えるとか、そういう薬を作っていたようだ。
しかしそれは何年もある寿命のうち何年か、もしくは何ヶ月かしか寿命を伸ばす効果がないと言っていた。
つまり、今の悲鳴嶼さんを助けることは出来るが、痣の克服自体をしなければ俺たちも25にならないうちに死んでしまうということだ。
「痣が出たやつはァ……甘露寺と時透、悲鳴嶼さん、冨岡、竈門、…伊黒は?」
「出た」
「あの、25を越えて生きていた縁壱さんは常に痣があったんです」
「なぜそれを知っている?」
「意識を失った時に先祖の記憶を見たんです。それで……」
「痣の出ている状態の時に普通の心拍、体温を保つようにするのが鍵かもしれない」
「悲鳴嶼さん!!」
「胡蝶、薬のおかげもあって生きながらえた。
愈史郎という子供のおかげもあるが……ありがとう」
煉獄と宇髄に支えられ部屋へ入ってくる悲鳴嶼さん。
皆で悲鳴嶼さんが助かったことに安堵し、顔が綻ぶ。
特に玄弥は安心しきって涙目だった。
世話になったようだしな。
片足がなくなってしまったようだが、胡蝶姉妹の技術があればなんとかなんだろ。
「心配かけたようだな。すまなかった」
「柱達は全員無事か。すごい奴らだな」
「愈史郎!」
愈史郎というやつはの顔を見て悲しげに笑った。
それを見て眉毛を下げ、布団へ顔を埋めて動かなくなってしまった。
少し震えているようだった。泣いてんのかァ……。
それを見て俺が慰める前に愈史郎がに近づき背中をさする。
「珠世様が繋いでくれた命を無駄にしないでくれ」
それを聞き、シーンと静まり返る病室。
だけじゃなく、俺らに対して言ったその声色は哀しみを帯びていた。