第4章 肆.命ある限り ※
鬼舞辻無惨と皆が戦っているのが見える。
冨岡さんの手から刀がスルッと抜け落ちる。
まずい、と思ったが小芭内が助け実弥さんが刀を渡していた。
無惨がそちらに気を取られている隙に後ろから合間をくぐって頸を斬る。
しかし斬ったところから再生していく……。
「」
名前を呼ばれると同時に背中から出ているものに腹を貫かれ、そのまま固定されて鬼舞辻無惨の目の前へと動かされた。
「私の血を分けてやったというのに、こうして未だ歯向かうか。
珠世のおかげで支配から逃れたのか? 太陽は克服出来てないか?」
再生するとしても、斬っていれば……そう思ったが日輪刀を握っている手を切られ刀を落としてしまった。
「吸収すれば分かることだ」
わたしを助けようと捕まっているところと頸を斬るがやはり斬ったそばから再生していくので無理だった。
「そういえば…お前の親と感動の再開は楽しめたか?」
「親……?」
「なんだ、知らないで殺したのか?
お前と戦ったあの鬼はお前の父親だぞ」
「は……? あの鬼は百年程生きてるんじゃ」
「お前が腹の中にいる時の話だ」
頸を斬った時、悲しそうにこちらを見ていた鬼を思い出す。
父は、鬼となりわたしを産んだ後に母を喰ったのか。
……母も父も無念だっただろう。
わたしは父に犯されていたことになるのか……。
そう考えると気持ち悪いが、鬼としてそばに置いておきたいのは少なからず残っていた父性だったのか?
許すことは出来ないけど、それよりもこの男に腹が立った。
ギリギリと歯が軋むほど食いしばる。
「……鬼で痣が出るやつは初めて見たな…。
しかし私の血によほど耐性があるようだな」
「…」
無惨の頭を掴み、思い切り捻り潰す。
「貴様……」
またすぐに再生していくが、それを機に姿の見えないところから無惨の触手が斬られていく。
それをきっかけに解放され刀を取り無惨の間合いから離れる。
「小芭内……」
「大丈夫か」
刀が赫刀に……。
ひどく体力を消耗しているようだった。
「時透が赫刀で黒死牟を斬った時、再生が遅れていた。
思い切り刀を握れ、」
脳に血が回らなくなるほど刀を握った。