第3章 参.役に立たない誇り
「日輪刀と羽織りを置いていくとは…」
「必ず戻るということだと思うが。
だから貴様に渡したかったんだろう」
「なるほど、そういうことか」
まるで鬼殺隊を辞めるように置いていったのかと思った。
でもそうか、伊黒の言う通りだな。
「刀は俺が預かって手入れもちゃんとしといてやるかァ。
ただ羽織りはの屋敷であいつらの隠たちに綺麗にとっておいてもらう」
「ああ、好きにしろ」
「じゃ行くわ」
「不死川さん、大変だと思うけど、ちゃんと食べてちゃんと休んで…ちゃんが戻ってきた時に元気に出迎えれるようにしましょうね」
「そうだなァ」
二人に別れを告げ、またの屋敷へと向かい羽織りを届けた。
また、に会えない日々がこれから続く。
しかも今回はすれ違いではなく、本当に会いたくても会えないのだ。
胸が苦しかった。
でもそう言っていても任務や鍛錬はしなきゃいけない。
むしろ帰ってきたときに、前より劣っていたらバカにされるだろうしな。
そう思いながら業務に徹底して向き合っていた。
ーーーー……
そうして、日輪刀を預かってからどれくらいの時間が流れただろうか。
時透、甘露寺がたまたま居合わせた刀鍛冶の里で上弦の鬼を倒し、はたまたそこに居合わせた竈門炭治郎とまさかの玄弥までもがその上弦の鬼を協力して倒したという。
更に驚いたのは禰豆子の太陽の克服だった。
それから鬼の活動はパタリと止み、その間隊士の質をあげるために柱である俺たちが直々に稽古をつけることになる。
今はその最中だった。
玄弥のことをきっかけに竈門と喧嘩になり、接近禁止令が出たはずなのにも関わらずおはぎを毎日のように持ってくるとんでもねぇ奴だ。
正直うざい。
「さね、さねみ、」
「こら、実弥さんだろ」
「早くどっか行けよお前らァ…」
「よォ!なんだ竈門もここにいたのか!」
「またうるせェやつがきた…」
「のこと報告するって言ってたくせに一度も報告してこないお前が悪い!」
「俺だってなんも聞いてねェっつってんだろぶち殺すぞ」
そう、あれから一度もに関する情報が入ってこないのだ。