第6章 欲しかったもの
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今日は里内のお店でかかしとごはんを食べている。
かかしは相変わらず食べるのが早くて、素顔が見えない。
眠そうな右目しか見えないけど、相変わらずまつ毛長いし、マスクで覆われていても鼻筋はすっと通っている感じがする。
でも、雰囲気だけでもかっこいいなっていつも思うんだ。
素顔を見てみたいとは思うけど、見るのが恐い気もする。
恐いっていうのは、なんていうか、今抑えている気持ちが止まらなくなるような予感がするから。
考えても仕方ないから、運ばれてくる料理に私は夢中になった。
「さてと、ちょっと本題に入ろうかな。」
そういってかかしは私の眼をじっと見つめた。
もぐもぐと卵焼きをほおばりながらかかしを見つめる。
「マユ、この木の葉の里には満足してくれた?」
「もちろん!なんか今でも夢みたいだよ。生活が一変したっていうのはこのことだね。できなかったことが普通にできてうれしい」
「そっか」
そういってかかしは嬉しそうに目を細めた。
「それでさ、マユに確認したいことがあって。この先木の葉の里でどう生きていきたい?」
「…どう生きていく?」
「忍びとして生きるか、一般人として生きるか」
「……」
当たり前のように忍びとして生きてきたのは、この力のせいで狙われ続けてきたからだ。
忍び以外に選択肢がなかった。
でも今は自分がどうしたいか選べる…
「火影様はね、マユの意志で決めてほしいといってるんだ。たとえ忍びをやめることになっても火影様も誰も君をとがめない。忍びとして生きるなら、それなりに任務遂行をしていかなければならないし、里外に出ることもよくある。危険がまたつきまとうのは否定できない。」
「うん…そうだね、そこは…決めなきゃならないね」
私は少し時間をもらうことにした。