第5章 木の葉隠れの里
かかしサイド 続き
火影室___
「それで、話とは何です?」
「あぁ、マユのことだ。あの子は、木の葉の里でどう生きたいと思っているのかと思ってね。
これまで生き残るために忍びとして生きるしか選択肢がなかったわけで」
確かにそうだ。
ここに来てまでまた死と隣り合わせの生活をしたいのだろうか…忍びとして里外へ出ればまた同じように危険な目に合うのは目に見えている。
ただ里内にいればそれなりの安全は確保される。
「…そこまではまだ確認できていませんでしたね。
彼女が第一に思っていたことは帰る場所と仲間がほしいということでしたからね。…あと恋人も…」
「ふん。恋人ならもうお前がいるではないか」
「えぇ!?」
「なんだ、違うのか?朝からあんなもん見せつけおって」
「あれはー…成り行きといいますか、俺たちは何も…」
そういう俺に綱手様は鋭い眼光を突き付けた。
「かかし、あたしをなめてるのか?
そんなこと少なくともお前ら2人の眼を見ればわかる。
多少なりともお互いに好意を抱いているんだろ?
お前も相変わらずにぶいねー。天才のくせに」
「いや…その…」
俺はなんとも言えなくなり、頭をわしゃわしゃと掻く。
「だからあえてお前の家の近くにマユの家を確保したんだぞ?ま、一緒に住みたいならそれでもいいが。
とにかく、あの子がこの先木の葉でどう生きていきたいか確認しろ」
「…わかりました」
んー綱手様にはほんとかなわない…
そう思って、ややうなだれながら火影室を後にした。
だが、あながち綱手様は間違ってない。
俺はあきらかに彼女に対して別の感情が湧いている自覚がある。
さっきだって、気が付けば自然と彼女を抱き寄せていた。
離れたくないと思ってしまった。
その気持ちに戸惑って隠そうとはしたけど、どうやらそれは周りが気づいている時点で無意味なことだと思った。
「はぁ~…ま、なるようになるか…」
そう心の声を漏らして俺は歩き出した。