第13章 やりたいこと 上
ーーーで、なんでこうなるかな……
ガヤガヤとした店内。
ろ班でよく行く居酒屋の奥の座敷を陣取り、俺たちはテーブルを囲んでいた。
「んじゃま、お疲れ様っした!」
「お疲れー!」
冷えたグラスを傾けてタツマが乾杯の音頭をとる。
今日の任務はタツマとサクとオレのスリーマンセル。
任務が終わりサクと一度別れ、2人で会うことがバレないように待ち合わせた場所で、飲みに行くと言うタツマとミチに出くわしてしまった。
ご飯に行くなら一緒に行こうとなり居酒屋に向かっていると、これまた任務帰りのテンゾウとばったり会い、結局5人で飲むことになってしまったのだ。
オレはサクとふたりでのんびりしたかったけど、当のサクは、仲の良いいつものメンバーととても楽しそうだ。
オレばっか二人きりになりたかったのかと面白くない気分になる自分が、ガキみたいで嫌になる。
カッコ悪……。
ふー、とため息をついた俺を、ケラケラと楽しそうに笑っていたサクが、「先輩?」と見つめてくる。
コイツはオレの気も知らないで……。
あまりに無防備な表情にイタズラしてやりたくなり、サクの膝の上にあった左手にオレの右手を重ね、指を絡める。
テーブルの影でみんなからは見えないけど、サクは大袈裟に体を跳ねさせ驚いた顔でオレを見る。
オレは素知らぬ顔で冷えたビールを喉に流し込んだ。
帰り、すっかり出来上がってしまったサクを送っていく役目を無理やり奪い、(タツマが先輩のオレを気遣って自分が行くと言ったが、それだけは嫌だった)足元がおぼつかないサクをおんぶして歩く。
サクはオレの背中で酒臭い息を吐きながら、上機嫌で歌っている。
無防備に全体重をかけ負ぶさるサクの柔らかな体を背中に感じながら、やっぱりタツマに任せなくてよかったと思う。
サクの住むアパートにつき、なんとか部屋の鍵を出させると、部屋に入りサクをベッドの上に乱暴に下ろす。
「ほら、着いたよ。
もーお前、飲みすぎ」
「はーい」
何が面白いのかケラケラ笑うサクに呆れながら、水の入ったペットボトルを渡す。