第2章 潜入任務 上
「答えないのね…。
んで勝手に使うのね…。」
噛み合わない会話にげんなりしている先輩をよそに、勝手に話を進める。
「そう!今日はカカシ先輩の誕生日です!
おめでとうございます!」
先輩が驚いた顔をする。
「え?そ…か。
今日…。忘れてた…。」
「だと思いました。
だから、今日はたこ焼きパーティーで盛大にお祝いしましょうね!」
粉も溶いて、ちゃぶ台のところに持っていく。
「なんでたこ焼き…。」
「だって食べたかったから…。」
「普通主役の食べたいものでしょ。」
「だって先輩の好きなもの並べたら、普通の昼ごはんになっちゃうじゃないですか。
さんまにナスの煮浸しでしょ?
たこ焼きの方がパーティーっぽいです!」
「まあ、確かに…。」
なんて話しながらも、先輩も手伝ってくれて、どんどんたこ焼きを作ってみんなで食べる。
いい感じにお腹が膨れてきた所で、冷蔵庫に入れておいた箱からケーキを出して持ってくる。
ローソクを立て、火遁で小さな火を出し付ける。
「そんなことに忍術使うなよ…。」
「だってもう一回立つのめんどくさいし…。」
「お前、ほんとめんど臭がり…。」
「今日は小言なしでお願いします。
ほらほら、蝋が垂れちゃう。
火、消してください!」
先輩がケーキに近づき、火を吹き消す。
「おめでとうございます!」
「先輩。あのこれ、2人から。」
テンゾウが2人で選んだプレゼントを渡す。
新しい手裏剣ホルダー。
先輩が使ってるやつが、だいぶくたびれてきてしまっていたから、2人でこれにしようと決めた。
「2人とも、ありがとね。」
ふっと先輩が目を細めて笑う。
それを見た瞬間、胸がドキリと跳ねる。
あれ?ドキって何だろう…。
よくわからない胸のうずきに、先輩を見つめたまま固まってしまう。
「サク?」
先輩とテンゾウが不思議そうにわたしを見る。
「えっわっ…と、何、もない、です。
わたし、ケーキ切り分けてきますね!」
2人の視線から逃れるように、キッチンに向かう。
まだ胸がザワザワする。
ドキドキ鳴る胸をしずめるように深呼吸する。
ダメダメ!今日は先輩の誕生日なんだから、先輩に思い切り楽しんでもらわなきゃ!
わたしは当初の目標を思い出し、気合を入れて切り分けたケーキをちゃぶ台まで運んだ。