第2章 潜入任務 上
秋の昼下がり。
今日はカカシ先輩の18歳の誕生日。
そして、先輩も、わたしも、テンゾウも奇跡的に非番。
これは、楽しいことをしない手はないと、テンゾウに話を持ちかけ、誕生日会を開くことにした。
事前に言っても絶対断られるから、なんの約束もなく、先輩の家に2人で突然押しかける。
テンゾウ鳴らしてよ!え?サクさんが鳴らしてくださいよ!
と、ドアの前で一悶着し、ジャンケンの結果、わたしが負けてチャイムを鳴らす。
しばらく間があってから、ガチャリとドアが開く。
寝起きなのか、ボサボサの髪に眠そうな目。
いや、それはいつもか…。と、心のなかで突っ込んでいると、無言でドアを閉められ、鍵をガチャリとかけられる。
「え?先輩!
カカシせんぱーい!!」
ドンドンとドアを叩き、ピンポンを押しまくる。
ピンポンピンポンピンポン…。
するともう一度ドアが開き、先輩がドアから怖い顔を覗かせる。
「お前ら、近所迷惑…。」
「じゃ、入れてください!」
満面の笑みで言うと、ゲンナリした顔で、それでもドアを開けてくれる。
「何?
今日非番なんだけど…。」
「だから来ました!」
後ろのテンゾウは、どうしていいかわからず立ち尽くしている。
「テンゾウ、お前もコイツにいちいち付き合わなくていいから。」
「はぁ…。」
テンゾウが曖昧に返事をする。
根から最近火影直轄の暗部に来たテンゾウは、まだ人付き合いというものがよくわからないらしい。
入ってきた時期も近いし、先輩のこと好き仲間として(これはわたしが勝手に思ってるだけかもしれないけど…。)仲良くしたくて、なにかと言えば誘って、よく遊んでいた。
先輩は本当に寝ていたらしく、殺風景な部屋の真ん中には布団がまだ敷かれていた。
それを押し入れにしまい、ちゃぶ台を持ってきて麦茶を出してくれる。
こういうとこ、律儀だよなぁ…。
早速持ってきた道具と、買ってきた材料を机に広げる。
「何それ?」
「先輩、お昼まだですよね?」
出したのはたこ焼き機とその材料。
「…質問してんのオレなんだけど…。」
先輩の面倒臭そうな顔を無視して続ける。
「さて、今日はなんの日でしょう!」
何度か来て勝手知ったるキッチンで、冷蔵庫に持ってきた箱を入れ、タコやネギを切らせてもらう。