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星降る丘【NARUTO】

第8章 決意


「……ごめん、ちょっと感情的になりすぎた」

すん、と涙目になった紅が鼻を啜る。

「ガイにも、こないだ同じこと言われた……」

「え?」

「オレに幸せになってほしいって……」

「うん」

「ありがとね、紅」

本当は分かっていた。
もう、どうしようもなくサクがオレの中で大切な人になっていること……。

ふう、とオレは気持ちを切り替えるように息を吸い込んで、吐いた。

「オレ、サクが治ったら気持ち伝えるわ」

「え?」

「紅が言った通りだから。
もうどうしようもないくらい、サクがオレの中占めてんの。
きっと、付き合ってなくても今失ったらまた後悔する。
それなら一緒にいる。
それで、次こそ守るよ」

「うん。
て、それわたしじゃなくてサクに言ってやんなさいよ。
泣いて喜ぶわよ」

紅が満面の笑みをオレに向ける。

「そだね。
ほんとすぐ泣くからね、アイツは」

笑っているとガシッと後ろから肩に腕を回される。

振り返ると任務帰りなのかボロボロのアスマがニヤリと笑って立っていた。

「お、お二人さんいいとこで見つけた!
メシまだならいっしょに食いに行こうぜ」

「アスマ、お疲れ。
ごめん、オレ行くとこあるから」

するりと腕から抜けると、オレは病院の方へと歩いていく。

「あ、なんだありゃ。」

「ふふ、大事な用なのよ。
今日はわたしが付き合うから。
もちろん、奢りでしょ?」

「給料日前に奢りはないだろ?
てか、カカシなんかあったのか?
いい顔しやがって。
カカシのあんな顔、久しぶりに見たぞ」

「奢ってくれたら教えてあげてもいいけど」

「だから、給料日前だっての」


木の葉の里には2月の冷たい風が吹いていたが、地面には新芽が顔をのぞかせて、春がもうすぐそこまで来ていることを知らせていた。

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