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星降る丘【NARUTO】

第1章 雨宿り


「ん…。」

むくりと起き上がり、目を数回しばたかせる。
横では先輩が座ったまま静かな寝息を立てていた。
寒さを感じ下を見ると、下着だけしかつけていなくて、声が出そうになり慌てて自分の口を塞ぐ。

だんだん記憶の糸が繋がって、今の状況を把握する。
火はまだ燃えていて、先輩が火の番をしていてくれたことがわかる。
毛布をそっと先輩にかけ、トイレがしたくて、乾いた服を着て穴の外に用心深く出る。
敵の気配は感じられない。

雨はすっかり上がっていて、空には一面に星が瞬いていた。
素早く用を済ませて穴に戻ろうとすると、一つ星が流れた。

と思った途端どんどんと星が流れていく。
初めて見る光景に口をポカンと開けたまま空を見上げていたが、先輩にも見せたくて、急いで穴に戻る。

「カカシ先輩っ!!」

声をかけるとばっと先輩が起き上がり構える。

「敵!?」

「違います!
でも早く早く!
消えちゃうかも!!」

先輩の腕を引っ張り、穴の外に出る。

「は?え?何が…?」

訳がわからないと言いたげな顔で穴の外に出た先輩が、息を飲む。

2人でしばらく流れる星を眺める。

「綺麗ですね…。」

「うん…。」

「こんなに星が流れるの、初めて見ました…。」

「オレも…。」

「世界平和平和平和!!」

目を瞑って手を合わせ、早口で願い事を唱える。

「…雑な願い方。」

呆れた顔で、先輩がわたしを見下ろす。

「だって流れちゃう前に言っちゃわなきゃいけないじゃないですか。」

「そうなの?」

「そうですよ。
先輩は何か願わないんですか?」

「オレの願いは、一生叶わないから…。」

先輩の切ない声に、空を見ていた目を先輩に向けると、先輩はまだ空を見上げていた。
口布で半分覆われた顔からは表情は読み取れないけど、それ以上聞いてはいけない気がして、わたしも黙りこくって、もう一度空を見上げた。



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