第7章 傍にいたい
嫌悪を顔に出さないように、顔に少し笑みを滲ませ「ありがとうございます」と短く答える。
2人きりでもいいのに。とものすごく近い距離で囁く駿河をなんとかいなして、芸妓の舞を見ながら酌をする。
駿河から香る甘い匂いも、ベタベタと慣れた仕草で触ってくるその手も嫌悪しかないが、殴り飛ばしたい気持ちをなんとか堪え、ひたすら強い酒を飲ませ続けた。
駿河がだいぶ酔っ払い芸妓たちの舞も終わったころ、頃合いだと駿河の服の端を少し掴み、耳元で囁く。
「駿河様。
お顔が真っ赤です。
そろそろ床に行きませんか?」
「ふふ、ツバキ、急に積極的だね。
積極的な女性も嫌いじゃないな。勿論いいとも。
でも、もう歩けそうもない。
ここで君を愛してもいい?」
そう言うと、駿河が急にわたしの手をつかみ、乱暴に押し倒す。
わたしは床に頭を強くぶつけてしまう。
「つっ!」
「気持ちよく、してあげるからね」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた駿河が、一瞬の隙にわたしの着物の裾をはだけさせ、内股になにか針のようなものを刺す。
チクリとする痛みにわたしは顔をしかめた。
「やっ、何を!?」
思わず手を振り払って逃げようとするわたしを、駿河が強い力で押さえつける。
普段ならこんな男、いとも簡単に振り切れるのに、なぜか体に力が入らなくてわたしは焦る。
「大丈夫。
ただの、すごく気持ちよくなる薬だよ……」
酒臭い熱い吐息が顔にかかり、思わず顔を背ける。
幻術を、早く、かけなきゃ……
そう思うのに、体に力が全然入らなくてチャクラをうまく練れない。
駿河が体重をかけて、わたしにのしかかってくる。
手がわたしの体中をいやらしく這い回る。
ゾワゾワする感覚に思わず目をギュッと閉じる。
やだ!カカシ先輩!
天井裏。押し倒されたサクが動かないのを見て焦る。
何やってんだ!
早く、幻術をかけろ!
駿河の唇が、サクの唇に触れそうになった瞬間、我慢の限界がきて、部屋に音もなく降りたつと、駿河の頭を掴み写輪眼で幻術をかけ、情報を盗み出す。
いい夢を見れるように再度写輪眼で幻術をかけ眠らせると、まだ横たわっているサクに近づく。
「サク!
なんですぐに幻術を……」
そこまで言ってオレは言葉を失う。
「カ、カシ先輩……?」