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星降る丘【NARUTO】

第5章 看病のキス


体が怠い。
汗をたくさんかいていて、濡れた服が体に纏わりついて気持ち悪い。

重い瞼を無理やり開けると、視界の端に見慣れた銀髪。
しかもなぜかわたしの右手は先輩の手にしっかりと握られている。

思わず「わっ!」と叫ぶと、わたしの声で先輩がベッドに乗せていた顔をむくりと上げる。
するりと握られていた手が自然にほどけた。

「ん……、あ。目、覚めた?」

「せせせ先輩!?なんでここに……?」

「様子見に来て、で帰ろうとしたら、お前が行かないでって言ったんでしょ」

先輩があくびをして、眠そうに目を瞬かせる。

「え?うそっ!?」

「ホント。
オレの服つかんで」

全然覚えていない……

「それでずっと、いてくれたんですか?」

手を振り解いて帰ることもできたのに……

「別に……。そんな長い間じゃないし。
それより、体どうなの?」

「あっ、はい!だいぶ良くなってきました!
頭も痛くないし。」

「それは薬飲んだせいだよ。
お前、オレが来た時すごい熱高くて、解熱薬飲ませたから……」

なぜかそこで口元を手で覆って先輩がそっぽを向く。

「先輩?」

「とにかく、元気になったなら帰る」

時計を見ると、今はもう夜の11時。
きっと任務終わりに心配で来てくれたんだ。
今日も明日も任務なのに……

「あの、看病していただいてありがとうございました!」

玄関に向かう先輩に叫ぶと先輩が少しだけ振り返る。

「さっきまで熱高かったんだから、明日は熱下がってももう一日寝とけよ。
三代目には言っとくから。
あと、冷凍庫にアイスあるから食べろよ」

ドアを開ける後ろ姿に「ありがとうございます!」ともう一度叫ぶ。
先輩は今度は振り返らずに行ってしまった。

先輩に握られていた右手にそっと左手で触れる。

大きくて、骨張ってて、少し冷たい手だった。
顔に熱が集まり、熱い。

ダメだ!!また熱が上がっちゃいそう!

ブンブンと頭を振って、汗で濡れた服を着替え、水を飲んでからもう一度布団に潜り込む。

早く元気になって先輩に会いたい……
さっき別れたばかりなのにもうそんなことを思ってしまう。

やっぱりわたし、先輩が好きだ……

布団を頭まで被って目を閉じても、しばらく先輩の顔が頭から離れてくれなかった。
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