第5章 看病のキス
「ふっふっ……、ふえーっくしょんっ!!!」
「サクさん、大丈夫ですか?」
はなをチーンっとかんでから、テンゾウに返事をする。
「ん、大丈夫…。
ごめんね。任務変わってもらったあげく、こんなものまで運ばせちゃって」
「いえ、三代目の命令ですから」
テンゾウが持ってきてくれた袋の中には、食べ物や飲み物、おでこを冷やすシートなどがたくさん入っている。
「ふふ、三代目も心配性だなぁ。
ただの風邪なのに……」
「ゆっくり休んで、早く良くなってください」
「ん、ありがとう。
みんなにも、ごめんって謝っといてね」
「はい。
じゃあ、僕は任務なので」
「うん。気をつけて」
パタンとドアが閉まり、部屋がシン、と静まり返る。
スープと薬をお腹に押し込みベッドに潜り込む。
寒さに体を縮こまらせ目を閉じると、すぐに泥のような眠りがやってきた。
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夜、任務が終わり報告書を出して家に向かおうとした足をふと止め、違う方向へ向かう。
電気の消えた部屋。
寝てるか…。
買ってきたアイスをどうしようか迷い、ダメ元で扉に手をかける。
ガチャリと手応えがあり、ドアが開く。
無防備にも程があんだろ……
心の中で毒づきながら、冷凍庫にアイスをしまい部屋を出ようとすると、「んん…。」と微かな呻き声が聞こえた。
「サク?」
起きたのかと声をかけるが返事はない。
うなされているのか?
ベッドに近づくと、布団に埋もれるように寝ているサクが苦しそうな息をはく。
そっとおでこに触れるとすごく熱い。
「サク、大丈夫か?」
そっと声をかけるが返事はない。
とりあえず、ぬるくなっていたおでこのシートを変えてやる。
ベッド横のテーブルに薬の袋を見つけ、中を見ると解熱薬がある。
起こして飲ませたほうがいいな。
少し強く肩を揺すると、サクが虚な目を開けた。