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星降る丘【NARUTO】

第4章 二人きりのお祭り


サクの嬉しそうな笑顔を見ると胸がトクンと音を立て、温かい気持ちが胸に広がる。

サクの笑顔に釘付けになってしまっていた顔を無理矢理そらし、立ち上がり尻をはたく。

「寒くなってきたし、そろそろ行くか。」

「はい!」


上機嫌のサクと並んで混んでいない神社の裏通りを歩く。

「日が暮れるの、早くなりましたね。
もう真っ暗」

「だね」

裏通りは明かりがないからさらに暗い。
遠くのお祭りの明かりを頼りに歩いていく。

「言ってる間に冬がきて今年も終わっちゃうなぁ」

「まだ2ヶ月以上あるでしょ」

「でもきっと毎日わーっと過ぎてっちゃうんでっ…わっ!!」

手を広げてオレを見上げて喋っていたサクが、何かに躓いて大きく前に傾く。
オレは咄嗟に手を伸ばし、サクの前に回りその体を受け止める。
ぬかるんだ道だったからか足が滑ってしまったが、よろけながらもなんとか踏みとどまる。
でもコケたときの衝撃から守るように、無意識にサクを胸の中にかき抱いてしまっていた。
すっぽりと腕の中に収まってしまう温かな体温に、一気に体が熱くなりバッと体を離す。

チラリと見るとサクの顔も耳まで真っ赤になっている。

「…っ、忍が躓いてコケるとかありえないでしょ!!」

「す、すいません!!」

慌てて頭を下げるサクの手を掴んで無言で歩き出す。

「せっ先輩!?」

「お前、ほっといたらまたコケそうだから……」

サクの小さな手は思いの外柔らかくて温かい。
少し後ろから付いてきていたサクが、そっとオレの手を握り返した。

「ありがとう、ございます……」

神社の外に出てしまうと、手を離さなくてはいけない。
名残惜しくて、オレはゆっくりとその坂道を下った。






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