• テキストサイズ

星降る丘【NARUTO】

第4章 二人きりのお祭り


「話したいことがあったんだよ」

「話したいこと?」

「コハクの街が大分落ち着いてきたらしい。
一時期悪化してた治安も良くなったって」

声がそっけなくなってしまうが、サクは気にする様子もなく、嬉しそうに顔をほころばせる。

「そうなんですか!よかったです」

なんだよ、今の顔。
可愛いと思ってしまい、思わず顔を背ける。

「先輩?」

今度はさすがに不思議に思ったのか、サクがオレの顔を覗き込む。

「じゃあ、オレはもう行くから。
ちゃんと家帰って寝ろよ。」

赤くなってしまった顔を見られないように立ち上がると、振り向かずにさっさと立ち去る。

「はーい。」

間延びしたまぬけなサクの返事が聞こえた。

正直、よくわからない自分の感情に戸惑っていた。
任務があれば、余計なこと考えなくて済むのに…。
今日に限って待機だ。

はぁ、とまたため息をつき、本でも読もうと待機所へと足を向けた。



待機所の隅で本を読んでいると、くノ一たちが楽しそうに話しているのが耳に入る。

「今週末のお祭りどうする?」

「んー、彼氏と別れたばっかだし…、行かない、かなぁ」

「あー、じゃあさ、みんなで行かない??」

お祭りあるんだ。
サク、お祭りとか喜びそうだよね…。
この間の誕生日のお返しに、明日テンゾウと2人誘ってみるか。

普段だったらお祭りなんて人混みだし、面倒くさいから絶対に行かないが、少し楽しみにしている自分に驚く。

なんかオレ、絶対サクに影響されてるよな……。

でも嫌じゃなくて、なんだかこそばゆい。
まだ遠くで聞こえる話し声から意識をそらし、オレは読書に戻った。



当日、昼まで任務だったので、夕方に神社の前で待ち合わせる。
シャワーで汗を流しいつもの服で神社へと向かう。
だいぶ秋が深まり、日が暮れると少し肌寒いくらいだ。

鳥居の前に着くと、サクが一人でポツンと立っていた。

「よ。テンゾウはまだ?」

「あ、先輩!任務お疲れ様でした。
それがテンゾウ急に三代目に呼び出しくらっちゃって……。
たぶん、任務ですかね」

「そうなんだ。
じゃ、仕方ないから、二人で行くか」

「え?はっはい!」

サクが上擦りながら返事をする。

「何よ。二人じゃ不満?」

/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp