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星降る丘【NARUTO】

第23章 キセキ



あれから3ヶ月が過ぎた。
里に帰ってきて、わたしは無事に男の子を出産した。
名前はリュウセイ。
自分の願いを叶えられるようにと、二人で考えこの名前をつけた。

夜半にリュウセイの泣き声で目が覚める。
寝ぼけまなこでオムツを見たあと、抱っこして母乳をあたえる。
すると、きぃ、とそっと寝室のドアが空いた。

「ただいま」

「カカシ!お帰り…」

そのとき体制が少し変わったからか、口から乳首が外れてリュウセイが泣き出してしまう。

「わわ、ごめんごめん」

慌てて咥えなおさせていると、カカシが「ゴメン……」と申し訳なさそうにこっちにやってきてベッドに上がる。
わたしの横にピタリと寄り添って座り、ふーと細く息を吐いた。

「お疲れ様。
大丈夫?」

時間はもう深夜の12時を回っている。
火影になったカカシは、戦後の処理でほとんど帰ってくることもできないくらい忙しい。

「それはお互い様でしょ。
サク、目の下クマ、できてる」

カカシがわたしの目の下をスッと親指でなぞる。

「それこそお互い様でしょ」

カカシの目の下には、わたし以上に立派なクマができていた。
ふふ、と笑うと、カカシも口元に笑みを浮かべ、リュウセイに視線を落とす。
そして、一生懸命おっぱいを吸う小さな頭を大きな手で撫でた。

「サク、全然家にいれなくてゴメンね……」

「ううん、カカシは火影様なんだもん。
今は大変なときなんだから、仕方ないよ。
それに、昼間は職場に行けば育児のスペシャリストがたくさんいるから、悩みもすぐ相談できるし、案外やっていけてるよ」

仕事は完全には復帰していないが、事務処理などを手伝いに、昼間は少しだけ孤児院を訪れていた。
それが一日中家にいるよりも、いい息抜きになっているのだ。

「ありがと。
無理、しないでね」

コツリ、とカカシがわたしの頭に頭を寄せてくる。

「カカシもね」

カカシの肩に頭をもたせかける。
シャワーを浴びたのだろう。
カカシからは、ほのかに石鹸のいい香りがした。
久しぶりに触れた温もりは、何物にも変え難い安心感をくれる。
しばらくそうしていたけど、せっかく今日は家に帰って来れてゆっくり休めるのに、カカシを休ませてあげれてないことに気づき、パッと肩から頭をどかす。
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