• テキストサイズ

星降る丘【NARUTO】

第23章 キセキ



「さ、モミジ、カエデ、オムツ替えようね」

ミルクを飲ませたあと、わたしは双子の赤ちゃんのオムツをそれぞれ替える。
満腹になった2人はしばらくご機嫌で遊んでいたが、だんだんとうつらうつらし始めた。
寝かせようかとトントンと胸を軽く叩き始めたとき、同僚のユキが交代の時間だよ、と呼びに来てくれた。
わたしは引き継ぎをしてから食堂で軽く夕飯を食べ、外套をまとい外に出る。
向かうのは、近くにある小高い丘。
昔カカシと見た、たくさんの星が降った丘。
その丘によく似た場所があるのをたまたま見つけ、仕事終わりや休日の夜になると、決まってここに来ていた。
お腹が大きくて走ることもできないから、ゆっくりと歩いて向かう。
普段なら一瞬の道のりも今は遠く感じ、着く頃にはしっとりと汗ばんでいた。

産まれたらしっかり鍛錬して体を戻さなくちゃな……

そんなことを考えながら近くの岩に腰を下ろす。
空を見上げると、たくさんの星がまたたいていた。
でも、あの時みたいな流れ星はまだ一度も見れていない。
たくさんの星が流れたら、みんなの無事を願えるのに……。


戦争がついに始まったーーー


どうか、どうか、みんな無事で……。

固く目を閉じ祈ったとき、肩にフワリと温かいものがかかる。
振り向くと、そこにはアンナさんが立っていた。

「体を冷やしちゃダメよ」

そう言って、しっかりと体を大判のストールで包んでくれる。

「アンナさん……。
わざわざ持ってきてくれたの?」

「久しぶりにサクとゆっくり話したいなと思ってね。
あの家の中だと、すぐ子供たちに囲まれて、なかなかゆっくりおしゃべりできないでしょ?」

「ふふ、確かに。
ストール、ありがとうございます」

返事代わりに微笑んだアンナさんが「隣いい?」とわたしと同じ岩に腰掛ける。
柔らかく温かな彼女の体がピタリとわたしに寄り添う。

「戦争、始まったんだってね」

「はい……」

思わず俯いてしまったわたしの肩を、アンナさんがそっと抱いてさすってくれる。

「ちゃんと眠ってないでしょ」

目を瞑るとアレコレ考えてしまい、大きなお腹も相まって、最近はなかなか眠れていなかった。
心配かけたくなくて曖昧に頷いてみるけど、目のクマを見れば一目瞭然で。
アンナさんは分かっているだろうけど、何も言わず肩を抱き続けてくれた。
/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp