第22章 愛ゆえの我儘
「サク……」
頭を愛おしげに撫で、カカシがもう一度キスをする。
ゆっくり啄むようなキスに応えるように広い背中に腕を回すと、カカシもしっかりと抱きしめてくれた。
この温かい腕の中にいると、安心して、幸せで胸が満たされる。
小さい子供みたいに、ずっと甘えていたくなってしまう。
でも、そんな時間は長くは続かなくて、最後にかすめるようにキスをすると、体は離れてしまった。
「名残惜しいけど、そろそろ戻らないとね」
カカシが口布を戻し、うんと伸びをする。
「そうだ!
カカシ、仕事中でしょ!?」
すっかり忘れていたけど、こんなとこでこんなことしてる場合じゃなかった!
「うん。待たせちゃってるからね。
行かなきゃ」
印を結ぼうと上げられたカカシの手を慌てて掴む。
「カカシ!追いかけて来てくれて嬉しかった。
ありがとう。
仕事、頑張ってね」
返事の代わりに目を細めて笑い、「じゃあ夜にね」という言葉を残し、カカシは瞬身の術で消えてしまう。
わたしは名残の温もりに、心の中で「気をつけて」とつぶやいてから、疲れて帰ってきたカカシが食べられる夜食の材料を買いに、市場へと足を向けた。