第21章 帰還
しばらくして落ち着いたのか、サクが顔を上げる。
「カカシ、ありがとう。
大好きだよ……。」
涙でぬれた瞳で真っ直ぐに見つめてくるその瞳に、吸い寄せられるようにキスをする。
するとサクがすごい勢いで顔を離した。
「だ、ダメだよカカシ!
うつっちゃうでしょ!?」
「サクの風邪はオレにはうつらないの。
一回看病した時に実証済みでしょ」
「そ、そんなのわかんないよ!
治るまでダメ!!」
グイーと口を両手で押しのけられてしまい、可愛い抵抗にイタズラ心がムクムクと湧いたオレは、サクの手首を掴んでその口元にあった指のまたをペロリと舐めた。
「ヒャっ!!!」
サクがビックリして手を引こうとするが、手首を掴んでいるからそれは叶わない。
舐めたり甘噛みしたりしていると、サクが「んっ……ゃっだ、めぇ……」と色っぽい声を出す。
その腰にくる声に、条件反射で体が熱くなってしまう。
あー、ちょっとやりすぎちゃったかも……
そのまま覆い被さって抱いてしまいたい衝動に耐え、サクの手を解放する。
表情を伺うと、潤んだ目でこちらを睨んでいる。
「か、カカシのバカ。えっち」
あー、もうなんでそんな可愛いの……
熱があるし、早く寝かさなきゃいけないのに、寝かしたくない。
少し空いてしまった2人の距離を詰めるように、サクの背中を抱き寄せると、おでこをコツンと合わせて至近距離で視線を絡ませる。
「最後に一回だけ、キスしていい……?」
こうやって甘えるようにねだると、サクは断れないのを知っていてわざとそうする。
だってキスしたいし。
眉根を寄せて困った顔でしばらく考えたあと、サクがコクリと頷く。
待ってましたとばかりに顔を傾け触れるだけの、優しいキスをする。
本当は舌を絡めて深く味わいたかったが、そうしたらもう止まれない自覚があったので諦める。
でも、触れるだけのキスでも温まってしまった体には十分な刺激で、痺れるような快感が唇から全身に駆け巡った。