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星降る丘【NARUTO】

第21章 帰還


「カカシ、おかえり……」

サクが熱のせいか、少し潤んだ瞳でオレを見上げる。

「ただいま。
綱手様に聞いたよ。
大丈夫?」

「うん、大丈夫。
心配かけてごめんね」

トイレ、と起き上がりベッドを降りようとするサクの体を支えてやる。

「ありがとう」

体は熱いが、思いのほかしっかりとした足取りに安堵する。
時計を見ると、時間は夜7時を少し回ったところ。
トイレから帰ってきたサクが再びベッドに潜り込む。
オレはベッドのヘリに座り、サクのおでこに手を当てた。

「まだ熱いね。
薬飲んだほうがいいな。
うどん食える?
ゼリーとかの方がいい?」

「おうどん、食べたい。
今、キッチンからいい匂いした」

食欲があることにホッと安堵する。

「そ。
じゃあ作ってくるからもうちょっと寝といて」

「あ、わたしも手伝う……っわぁ!」

慌てて起き上がろうとするサクを両手でぐいっとベッドに沈める。

「綱手様に3日間ベッドに縛りつけとけって言われてるの。
サクは大人しく寝てて」

「はい。
じゃあ、お言葉に甘えて……」

申し訳なさそうに布団をかけ直すサクの頭をわしゃわしゃと撫でると、オレはキッチンへとむかった。

鍋に火をつけると、部屋に出汁の匂いが立ち込め、グゥと腹が鳴った。
よく考えれば、自分も任務が終わってから何も食べていなかった。
冷蔵庫にあった小松菜を切り、卵を2個取り出す。

「卵溶いたのと、落としたのどっちがいい?」

「落としたのー」

間延びしたマヌケな声がベッドから返ってくる。

卵が半熟になったタイミングで2人分のうどんをよそい、キッチンテーブルに持っていく。

サクがもそもそと起き出してきて、くたびれたお気に入りのパーカーを羽織り自分の椅子に座る。
オレも箸とお茶を持って向かいの椅子に座った。

「うー、いいにおい。
カカシ、ありがとう」

満面の笑みのサクに「うん」と頷いて、2人で熱々のうどんを啜る。

「うまぁ」

目をつぶってサクがうどんを噛みしめる。
こういうとこ、昔っから変わらないよね。
サクの行動は、いつもこっちまで笑顔になってしまう。
だからサクの周りには人がいつも集まるんだろうなと思う。
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