第16章 サスケ
再び重なった唇に目を閉じると、先輩の手が抱きしめるようにわたしの背中に回される。
角度を変えて何度も重なる唇に体が熱くなっていく。
わたしは縋るように先輩の広い背中にしがみついた。
それを合図にするように、口付けが深くなり、わたしはいつの間にか屋根の上に押し倒される。
夜で暗いと言っても街灯や家の灯りはある。
しかも、いつ近道しようと屋根の上を誰かが跳んでくるとも限らない。
慌てたわたしは、首筋に顔を埋めている先輩を力一杯押しのけようとするけど、力の差は歴然でまったく敵わない。
「っ先輩!ここ、外!!
外だからダメっですって!!」
「ヤダ…。」
「ヤダじゃなくてっ!
部屋、部屋帰りましょう!
屋根降りるだけでしょ?」
「んー…。」
必死の訴えもどこ吹く風で、わたしの服に手をかけ始めた先輩に焦り、もう一度唇を求めてきた先輩の頭に思わずガンっ!と頭突きをする。
「「っっっっっ!!!」」
あまりの痛みにお互い頭を抱えてうずくまる。
「…ちょっと、ひどくない?」
涙目の先輩が恨めしげにわたしを見下ろす。
「だって先輩がやめてくれないから。」
同じく涙目で見上げたわたし。
目があって赤いおでこにどちらからともなく笑い出す。
「明日2人そろってたんこぶになりそうだね。」
わたしの赤くなったおでこを先輩がそっと撫でる。
「暗部の面で隠せるから大丈夫です。」
「確かにね。」
ひとしきり笑い合うと先輩がわたしの手を取って起こしてくれる。
「部屋で、やり直してい?」
耳元で囁かれたセリフにコクリとうなずくと、手を繋いで部屋で戻ったわたしたちは、存分に愛を分かち合った。