第15章 14話
二人で携帯を買いに行き、帰りがけに今日迎えに来てくれたお礼としてなにかすると言えば特になにもいらないと言われる。
『でも携帯買うのも付き合ってもらったし・・・』
焦「大したことじゃない
気にすんな」
『ありがとう』
優しい焦凍の言葉に今回は甘えて今度何かあればお礼をしようと決めた。
帰り道、不意に焦凍が立ち止まったためも立ち止まった。
『どうしたの?』
焦「実は今日相澤先生にを泣かせてやってくれって言われてたんだ」
『え、なんで?』
焦「・・・・泣いたんだろ
帰ってきた日、相澤先生の前で」
その言葉を聞いて相澤が今日焦凍を迎えに来させた理由も思惑もすべて理解できた。
焦「だから・・・俺にも何か・・・
の心を軽くしてやることはできないかって・・・」
『今日一日一緒にいてくれただけで十分だよ』
焦「でも・・・泣いてない・・・」
申し訳なさそうに拳を握りしめる焦凍の手を握って笑いかける。
『それはあの時の恐怖や帰ってきたっていう安心感より、焦凍君といれた時間の方が嬉しかったから
確かに兄さんの前で怖かったって泣いたし、校長先生に励ましてもらって嬉しくて泣いた
けどね、そんな何日もめそめそしてるほど私は弱くないよ
だから私はもう大丈夫』
焦「また俺は・・・何もできなかったんだな・・・」
『ううん
今日来てくれて嬉しかった、一緒にいてくれて楽しかった、焦凍君といれて帰ってきたんだって実感できた
それはあの時のことを忘れられるぐらいにね』
だから大丈夫だと抱きしめて個性を発動する。
『いつも心配してくれてありがとう
いつも大事にしてくれてありがとう
いつも想ってくれてありがとう
焦凍君がいるから私は乗り越えて頑張れる
だから何もできないなんて言わないで』
抱きしめ返してくる焦凍はごめんと呟いて謝ってくる。
それが何に対しての謝罪なのかわからないが、このことに関してはもう気にしないだろうと思う。