第3章 2話
そのあとも大丈夫だと何度も伝えたが、地面にめり込む勢いで謝ってくるのでは困惑していた。
『あ、あのほんとに大丈夫ですから
血もでてますし・・・』
「いえ!!!ヒーローを目指している身として人の気配に気づかないなんてダメっすよ!!」
それを言うならこの学校を卒業した自分はもっと気づくべきだったのではと思うが、そろそろ面接の開始時間が迫っているので、は次の準備に移らなければならない。
『ほんとに大丈夫ですから
保健室に連れて行ってあげたいんですが、あいにく私はこれから行くところがありまして・・・
他の先生を呼んできますので待っててもらえますか?』
頭から血を流したまま面接など嫌だろうと思い、リカバリーガールのもとに連れて行きたいが今は送ってやれない。
取り敢えず流れている血を持っていたハンカチでぬぐってやるが、頭なので簡単に血が止まらない。
他に手の空いている先生はいないかと周りを見渡すが、実技試験が終わり面接の順番を待つ受験生以外見つからない。
「これは自分が不注意で負った傷ですのでご心配なく!!!
こちらは責任もっていずれお返しするっス!!!
では!!」
なぜか急にそそくさと逃げるように去っていき、のハンカチを持って行ってしまった。
『まぁいいか
さて次することは・・・』
気を取り直して今日は早く帰るためにしなければいけないことを紙にまとめていく。
『お先に失礼します!!』
定時で仕事を終わらせたは猛ダッシュで帰路につく。
ミ「ってばあんなに急いで帰って何か用事?」
いつも遅くまで仕事をしているイメージのあるが急いで定時に帰る姿を初めて見たミッドナイトは兄の相澤に話しかける。
相「なんか約束があるらしいっす」
ミ「え!?それってもしかして・・・彼氏!?」
こういった話題の大好きなミッドナイトはずいっと顔を相澤に近づけるが、相澤は”違いますよ”とだけ返す。
ミ「なーんだつまんないの」
相「(まぁ、あながち間違いじゃないっすけどね)」
そんなことを口に出せばめんどくさい事になるのは目に見えているので、合理的ではないと頭の中で思うだけにした。