第2章 1話
約5年前の春、は雄英高校の1年生だった。
雄英高校ヒーロー科に通ってはいるがヒーローになるつもりはない。
特にこれといった夢もないので兄に勧められヒーロー科に通っているだけだ。
今日は学校帰りにヒーロー活動で負傷した兄の同僚の見舞いの為に病院に来ている。
兄が自分で行けばいいのだがあいにくと忙しいようなので、代理としてが来たのだ。
手には途中で買った花束と果物を持っている。
『(あとでちゃんと請求するからね・・・)』
花束と果物の領収書をしっかりと財布におしこんで、病院に足を向ける。
『(確か貰った地図ではこの辺にある大きな病院なんだけど・・・
ああ、これか)』
兄に貰った地図を頼りに病院への入り口を見つけた。
さっさと済ませて帰ろうと病院の敷地に足を踏み入れる。
一歩敷地内に入ると視界の端っこに小さな塊をとらえた。
不思議に思い塊の方に目を向けるとそこには赤と白の髪をした男の子が、ランドセルを背負ったままうずくまっていた。
学校帰りな上に初対面の人の見舞いなので面会時間ぎりぎりに行こうとしている為、すでに夕方だ。
見たところひとりのようだし、いくら日が長くなってきたとはいえ、小学生はそろそろ家に帰らなければいけない時間ではないのか。
一瞬声をかけようか迷ったが、志してはいないとはいえ一応ヒーロー科にいる身としては声をかけるべきだろうと判断した。