サバイバーに裏切られたのでハンターになって復讐しようと思う。
第27章 看病
まず、冷たいタオルを作ってジャックのおでこに乗せる。ここには、私の世界にはあった冷えぴたが無いらしいから。
「んん……」
ジャックが息苦しそうにはぁはぁ、と乱れた呼吸をしている。
「大丈夫、大丈夫。」
私がまだ幼かった頃……まだ母が優しかった頃に、私が熱を出したときにしてもらった事をしてみる。
どんなに憎い人でも、やはり優しくされた記憶は残るものだ、なんて思った。しかも、今はそれを真似ている。
人間は、こうして母や父になっていくんだな、と実感した出来事だった。
「夏葉……っ」
本当に悪化してきてしまったらしく、ジャックが苦しそうに私の名前を呼ぶ。
「…私はここにいるよ、ジャック。大丈夫だよ。」
そう言って抱きつく。すると、ジャックが目を開けた。
「…夏葉」
ジャックの綺麗な瞳には涙が浮かんでいた。ジャックが泣くなんて、珍しい。
「……子供じみたお願いなのですが、聞いて頂いても良いでしょうか…?」
「もちろん。なあに?」
「手を、握って頂いても、よろしいですか?」
私はにこっと笑って手をぎゅっと握る。なんだかそれだけでは自分が満足できずに、ジャックを寝かせて自分も横に寝た。
「これなら、心細くなりませんね。ですが……貴女に風邪が移ってしまったら…」
「私が風邪をひいたらジャックが看病してよねー。……ジャックには早く風邪をほ治してほしいの。いつでも元気な、私のジャックがいいから。」
ピタッとジャックにくっつくと、ジャックの心臓が早鐘を打っている事が分かった。
「……愛しています、夏葉。」
「私も…。ジャックのこと、その、…あ……あい、してる」
恥ずかしさで上手く言えない。今の私はきっと赤くなっているだろう。
「ふふ。おやすみなさい。」ジャックがより一層私を深く抱き締めて眠る。私もジャックの大きな胸の中、という安心感で眠ってしまった。