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名もない物語

第1章 【閻魔第二補佐官採用試験】


「閻魔大王」

「ん?なーに、鬼灯君」

地獄の第5審、閻魔殿。

使い物にならない大王に代わり、慌ただしく朝から仕事に出向いていた鬼灯がここに帰ってこれたのはお昼を過ぎてからだった。

「そろそろ第二補佐官が欲しいです。この大量の仕事、私一人じゃ手に負えません」

「そうだよねえ……現世もだいぶ変わっちゃって鬼灯君の仕事も増えたし……」

「貴方がもっと働いてくれたらだいぶ楽なんですけどね。というか働け、このア.ホ大王」
「もはやボリュームすら落とさない?!」

「……で、第二補佐官の許可くれるんですか?」

半泣きになっていた顔を慌てて上げ、大王は頷いた。

「もちろん、他の誰でもない鬼灯君の要望だからね。えーと、じゃあ採用試験を……」

「その必要はありません」

「え?」

大王は二重の意味で驚いた。

あの鬼灯が、灯りなんて微塵も感じない冷徹な鬼灯がその眼の奥に優しさとも愛しさともとれる何かを宿していたから。

「もう、決まってますから」



――これは、


――――それから1000年後の物語。
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