第25章 ルカ編
「おい、起きろルカ」
「やだ……昨日もずっと研究してたんだ…もう少し…あと三時間…」
「夜はしっかり寝ろといつも言っているだろう!?」
私が彼を起こしに行くときは、必ずこのような状態だ。
彼と私がかなり親しい仲だからなんとかしてきてくれって感じっぽいけど……。
「…起きないと、注文受け付けないぞ?」
「おはよう夏葉。今日も君は美しいね」
「チッ。行くぞ」
私がルカに背を向けて立ち去ろうとすると、「待って」と呼び止められた。
「なんだ?」
「一緒に行こう!!」
手を無理矢理繋いでくる。
…彼と私は、ここエウリュディケ荘園に来る前から知り合いだ。
なんかここに来たらばったり会った。
私の昔の職業は新薬を作る、というものだった。
研究者とか臨床開発職とか色々あるっぽいけど、私が作っていたのは人をも殺す毒薬だ。もちろん、全て一人で作っていた。
「…勘違いをされるから、手を繋ぐのはやめろ」
「僕は別に良いもんね~」