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曇った空の恋の話【第5人格】

第21章 ジョゼフ編 (新)


「ジョゼフ」

なるべくジョゼフを睨み付けながら呼ぶ。

「ん?なに?」

ジョゼフは笑顔でこちらを向く。


………余裕のある大人みたいな感じで気にくわない。

「ハッチから脱出させたあと…って、どういうこと?私、失血死したはずなんだけど」

「…さぁ、なんでだろうね。はい、ご飯。サバイバーの夜食の時間は過ぎちゃったから、僕のを一緒に食べよう?」

「一緒に」というフレーズは死ぬほど嫌だったが、お腹が空いているのは事実なので、小さな声で「ありがとう」と言った。

「……可愛い」

「……は?」

私が可愛い?やっぱりジョゼフの言動一つ一つは意味が分からない。

「はい、あーん。」

スプーンにシチューを乗せて私の口元まで持ってくる。

「……っ!?自分で食べれる!」

「良いから。食べてよ。口移しじゃないだけ良いでしょ?」

ジョゼフにとっての「普通」は、何処までなんだろう。どちらにせよ、気まぐれ猫すぎる。

「…ん」

羞恥心を殺しながらシチューを口に含む。

ほんのり甘くて美味しい。

「美味しいでしょ。はい、あーん」

「私がジョゼフに食べさせる」
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