第21章 ジョゼフ編 (新)
「ジョゼフ」
なるべくジョゼフを睨み付けながら呼ぶ。
「ん?なに?」
ジョゼフは笑顔でこちらを向く。
………余裕のある大人みたいな感じで気にくわない。
「ハッチから脱出させたあと…って、どういうこと?私、失血死したはずなんだけど」
「…さぁ、なんでだろうね。はい、ご飯。サバイバーの夜食の時間は過ぎちゃったから、僕のを一緒に食べよう?」
「一緒に」というフレーズは死ぬほど嫌だったが、お腹が空いているのは事実なので、小さな声で「ありがとう」と言った。
「……可愛い」
「……は?」
私が可愛い?やっぱりジョゼフの言動一つ一つは意味が分からない。
「はい、あーん。」
スプーンにシチューを乗せて私の口元まで持ってくる。
「……っ!?自分で食べれる!」
「良いから。食べてよ。口移しじゃないだけ良いでしょ?」
ジョゼフにとっての「普通」は、何処までなんだろう。どちらにせよ、気まぐれ猫すぎる。
「…ん」
羞恥心を殺しながらシチューを口に含む。
ほんのり甘くて美味しい。
「美味しいでしょ。はい、あーん」
「私がジョゼフに食べさせる」