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曇った空の恋の話【第5人格】

第1章 第一話【出会い際のお話。】


 曇り空をただぼんやりと眺めているだけの君。
 そんな君に、僕は恋をした。
 いつもは、ただ友達として……親友として見ていた。ただ、それは彼女がいつも男勝りな性格をしているからである。
 こうしてぼんやりとしているだけでも、あんなに女性として見えてしまう。いや、もとから女性だが。
「やぁ、夏葉。調子はどうだい?」
 彼女がこちらを向くと、焦ったように表情を変えた。
「あっ、ようイライ!お陰さまでうまくいってるよ!今日も、試合同じだよな?頑張ろうぜ!」
「ああ。」
 このように、彼女は話していると男っ気のある女性なのだ。黙っていれば綺麗というやつだ。
「なぁ、イライ。」
 彼女がいつもと違った様子で話しかけてくる。なにかのお願いだろうか。
「どうしたんだい?」
「今夜、俺の部屋に来い」
 彼女はそう言うと走り去ってしまった。一体なんの用事だろう。今までは、大体怖い夢を見たから一緒に寝てや、梟触らせてなどで呼び出されていたが……今回もそんな感じか。
 私は大して深く考えずに、自室へ戻った。
 まぁ、恋をした女性からのお誘いでもあるから、嬉しくもあった。本当に、ただそれだけの気持ちだった。
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