• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第58章 光


「はは、俺が言いたかったこと、全部炭治郎が言ってくれたわ。……でも駄目だぞ八つ当たりしちゃ。今度会ったとき謝れよ」
「……わかってる」


二人きりになると、善逸が光希に抱き付く。
目をぎゅっと閉じて縋るようにしがみつく。


「ごめんな、善逸。辛いよな」
「一番辛いのはお前だ」
「一番なんてないよ。辛いのは皆同じだ。俺は自業自得。お前は俺に巻き込まれて辛い思いしてんだよ」

光希はそっと善逸の背中を撫でる。


「ごめん。俺はお前に、俺と一緒にいることで辛い思いをさせたいわけじゃないんだ。もし……、辛いのが耐えられないなら、俺は、」
「耐える!耐えられる!」

「この先もきっと、何度も繰り返すぞ。俺と炭治郎の間に恋愛感情はないが、関係性は続くからな」
「その度に乗り越えるからいい」
「こんなに辛い思いして、か」

善逸の腕の力が強まる。
光希を離すまいと必死だ。

「辛いけど、頑張るよ。俺はそれしか出来ないから。だから、離れていかないで」


『辛いのが耐えられないなら、俺は……』

善逸は慌ててその先を止めた。


「ううっ…、嫌だ。別れるのは嫌だ。辛いけど、しんどいけど、絶対に、お前を手放すことだけは嫌だぁ…うわぁぁぁん……」
「よしよし。ごめんな。ごめん。わかったよ、ありがとな」

泣き出した善逸の背中をさする。
久々に善逸の弱っちい部分が炸裂したが、これを想定していた光希は落ち着いてなだめていく。

むしろ自分がそうしてもらったように、泣かせてやった方がいい。
そう判断して、どんどん泣かせていく。


「お前の運命の子が炭治郎でも、俺と一緒にいてくれる?」
「当たり前だろ」
「でも、お前は炭治郎の側にいなきゃいけないんだろ」
「まあ、必要な時はな。その時は迷わず行くだろうな」
「うっ……」
「ごめんな。どうしてもの時だけだから」
「………うん」

善逸は光希を抱きしめながら呟く。

「なんで俺が、お前の運命の子じゃないんだろうな。なんで……こんなに…好きなのに……」
「……さあな。でも、俺はね、こっちの方が凄いと思うんだよ」
「え?」

光希が明るい声で言う。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp